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昨年12月1日に政府・与党医療改革協議会が医療制度改革大綱を決定した。
政府・厚労省は、この大綱に基づき改正法案を取りまとめ通常国会に提出する予定である。
今回の制度改革が政府案どおり可決されることになれば、支出科目名こそ変わるだろうが拠出金は存続・拡大される。
他の保険者が軒並み負担軽減される一方で健保組合のみが大幅な負担増となり、我々健保組合にとっては非常に厳しく、今後の組合運営は、なお一層苦しい財政状況を強いられることになる。
これまで、健保連では平成15年3月に閣議決定された、「医療制度改革の基本方針」で示された諸改革の早期実現に向け関係機関に要望してきた。
また、健保連内部においても各テーマごとに設置されたワーキンググループ等で鋭意検討を進めてきた。そして、その結果を基に、全国各地域で開催された説明会での意見・要望を集約し「新たな高齢者医療制度を含む医療制度改革に向けての提言」をまとめ、改正法案に反映されるよう厚労省に対し要望してきたところである。
しかしながら、今回の大綱を見る限り我々の意見・要望が全く受け入れられず、むしろ基本方針より後退した内容であると言わざるを得ない。
そのなかでも一番の問題は、新たに創設される高齢者医療制度の内容である。健保連は65歳以上のすべての高齢者を対象に医療給付を行う制度を提言したが、大綱では、75歳を基準に前・後期に分けることとしている。
後期高齢者については独立した制度を創設し、財源は現役世代から加入者数に応じた支援(約4割)を含めたものとしている。また、前期高齢者においては、不均衡を是正するため政府自らが廃止を決定していた拠出金制度に変わり医療調整金制度が導入され、実質的に存続することになる。これは、組合に大幅な負担増となる極めて不合理な各保険者間の財政調整といえる。
このような内容であれば、現行の制度と全く変わりなく、むしろ高齢者医療制度の創設により健保組合にとっては新たな負担が増え、まさに後退した改正案である。
加えて、現在、扶養家族として保険料負担していない人も含め、75歳以上全員が保険料を支払わなければならないうえに、70歳以上は窓口負担も増えることになる。医療費適正化が組合の負担増と高齢者の負担で成り立つのは納得できない。
さらに、基本方針で廃止が明記されていた退職者医療制度についても、26年度まで経過的存続とされていることも非常に残念な結果であり容認できるものではない。
いずれにしても、今回の医療制度改革大綱は我々健保組合関係者にとっては到底受け入れることのできない内容である。先の全国大会において決議した方針に基づき、今後さらに日本経団連・連合とも連携を強化して真の改革に向けて全力で訴えていかなければならない。
この号が出る頃には改正法案が国会に提出されていると思われるが、我々の求めている誰もが納得できる医療制度改革の実現をぜひとも期待したい。 |
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(隆) |
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