政府・与党医療改革協議会の「医療制度改革大綱」が12月1日に公表された。ある程度予想はできたものの、肝心かなめの高齢者医療制度については、先の厚労省の試案に沿って、75歳以上の後期高齢者を対象とした独立保険を創設し、国保及び被用者保険の各保険者が「後期高齢者医療支援金(仮称)」を負担する。
65歳から74歳の前期高齢者は、国保・被用者保険といった従来の制度に加入し、各保険者の加入者数に応じて給付費を負担する「保険者間の財政調整」を導入する。また、経過措置として「退職者医療制度を26年度まで存続させる」ことも盛り込まれた。
これらによる財政影響は、他の保険者がすべて負担軽減されるのに対して、健保組合だけが2,200億円の負担増となり、現行の拠出金制度を一層強化した「財政調整方式」といえる。
これまで我々は、拠出金制度の廃止や不合理な負担の解消を強く主張し続けてきたが、大綱はこれとは裏腹に拠出金方式を継承している。健保連はこれに対し、政府の基本方針(15年3月閣議決定)にも大きく反し「到底受け入れがたい内容」と断固反対との会長声明を発表したところである。
状況は厳しいが、大綱どおりの高齢者医療制度になれば、少なからぬ健保組合はかつてないほど深刻な「存亡の危機」に直面する。年末の法案の作成まで、残された時間は少ない。活路を見出すため、まさに総力を結集すべき正念場だ。
11月21日に開催された健康保険組合全国大会では、最重要課題である「拠出金制度の存続・改悪の断固阻止」の必要性を全面に打ち出し、「医療費総額の実効ある抑制」「社会経済動向を反映した診療報酬等の引下げ」「患者中心の医療の早期実現」とあわせ、医療制度改革のあるべき姿を強く訴えた。
健保財政の悪化は、紛れもなく拠出金制度にある。基本方針では廃止するとしながら、後期支援金、前期調整金、退職者拠出金という三重の理解しがたい過重な負担が課せられる。応分の負担は避けることはできないと考えるが、稼得能力のない0歳の加入者からも支出金の負担対象にするなど問題点が残されたままである。
新制度における負担は、各々の能力に応じた、より納得性の高い合理的で公平な負担とすべきである。
複雑で問題が多い高齢者医療制度案には、全健保組合一丸となり、断固反対の姿勢を貫いていく。それとともに、日本経団連、連合との連携・強化、さらに国会議員を中心に波状的な要請行動など、健保連の考え方を今後も強く内外にアピールして真の医療制度改革早期実現を切に望みたい。 |