広報誌「かけはし」
   
■2005年12月 No.411

拠出金制度の存続・改悪を断固阻止へ総決起!
―平成17年度健康保険組合全国大会―

 

 平成17年度健康保険組合全国大会(拠出金制度の存続・改悪を断固阻止する総決起大会)が、11月21日(月)東京・丸の内の東京国際フォーラムで開催された。大会には全国の健康保険組合関係者約4,500人が参加した。
 大会は、福岡道生健保連会長の基調演説に続き、川崎二郎厚生労働大臣のあいさつがあった。引き続き対馬忠明専務理事から最近の情勢報告および決議の趣旨説明の後、医療制度改革実現に向けて総力をあげて取り組む決意を表明した大会決議を満場一致で採択した。

 


 

決           議

  老人保健制度・退職者医療制度に基づく拠出金制度は、長年にわたり自主・自立の保険者の存立基盤を疲弊させ、保険者機能の発揮を阻害し続けてきました。過重な拠出金負担により、この10年間で約260の健保組合が解散等に追い込まれました。
  健保連はこれまで、拠出金制度を廃止し65歳以上を対象とする新たな高齢者医療制度の創設を強く主張してきております。
  今般提案された「医療制度構造改革試案」は、健保連の主張とは異なる75歳と65歳で高齢者を区分する複雑な制度であるうえ、拠出金による財政調整を一層拡大するものです。また、退職者医療制度の存続など、政府・与党で決定した「基本方針」からも逸脱する内容となっています。このような健保組合のみに過大な負担を強いる拠出金制度の存続・改悪は断固阻止します。
  われわれは、真の医療制度改革実現をめざし日本経団連、連合との連携をより強化するとともに、次の事項の実現を期し、組織の総意をもってここに決議します。

 1. 拠出金制度の存続・改悪の断固阻止
健保組合に過大な負担を強い、保険者の自主・自立を否定する拠出金制度の存続・改悪を断固阻止します。
新たな高齢者医療制度は、65歳以上の高齢者を対象とした負担構造が明確な、保険者機能の発揮できる制度とすべきです。
 2. 医療費総額の実効ある抑制

急速に進展する少子・高齢社会においても医療保険制度を安定的に維持していくためには、医療費総額の抑制が不可欠です。

医療費総額抑制を実効あるものにするためには、マクロの目標の明確化とこれを実現するミクロの諸対策を一体のものとして推進していくべきです。
 3. 社会経済動向を反映した診療報酬等の引下げ

 

平成18年度診療報酬等改定に際しては、引下げを断行するとともに、その見直しにあたっては、簡素・合理化を図り、支払方式については、急性期入院医療のみならず、慢性期入院医療にも、早期に定額払い方式を拡大すべきです。
 4. 患者中心の医療の早期実現

 

国民が常に安心・安全な医療を享受できるよう、医療機関の機能分化や連携などによる医療の質の向上と医療機関情報の提供等による患者の選択が可能な体制を早期に推進すべきです。

このためには、医療の標準化・透明化、情報の共有化が必要であり、医療のIT化を迅速に推進すべきです。

平成17年11月21日 拠出金制度の存続・改悪を断固阻止する総決起大会
 −平成17年度健康保険組合全国大会−  

 

サミット

  全国大会決議に引き続き、「真の医療制度改革実現に向けて」をテーマに「医療制度改革三団体緊急サミット」が開かれた。
  日本経団連社会保障委員長の西室泰三氏、連合会長の高木 剛氏と福岡道生健保連会長が、川崎医療福祉大学大学院教授の岩淵勝好氏のコーディネーターのもとで協議し、3団体の共通認識を探り改革の実現へ連携を強化していくことを確認した。厚労省試案の高齢者医療制度は極めて問題点が多いと反対を唱え、3団体の共通基盤とした。
  また、診療報酬は引き下げるべきであること、レセプトの電子化など医療のIT化を推進するとともに医療機関の領収書発行の義務化などで基本認識を一致させた。