広報誌「かけはし」
 
2005年9月 No.408
食事療法のはなし
〜糖尿病の食事療法〜
 
 8月25日、健保連大阪中央病院で「食事療法のはなし〜糖尿病の食事療法〜」をテーマに健康セミナーが開催され、健保連大阪中央病院の管理栄養士北織美歩氏と、同上村美千留氏による講演が行われました。

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   ◆糖尿病食は健康食
 


北織美歩氏

  糖尿病は食べ過ぎや運動不足、肥満などの悪い生活習慣によってインスリンの働きが不足し、食事でとった炭水化物だけでなく、蛋白質、脂質が体内でうまく利用できなくなるため高血糖になります。食事療法の最大のポイントは高血糖を改善するために、体内で利用できる範囲の食事量(適正エネルギー量)にすることです。糖尿病食は健康食であり、食事療法の三大柱は@適正エネルギー量を守る、A栄養素のバランスをよくする、B規則正しい食習慣にする、となります。
  適正エネルギーは自分の標準体重(身長(m)×身長(m)×22)に身体活動量をかけます。身体活動量はデスクワークなど軽労作なら25〜30キロカロリーです。糖尿病の食品交換表は含まれている栄養素によって食品を6つのグループに分類してあり、1単位を80キロカロリーとしています。例えば、適正エネルギーが1600キロカロリーの人なら、1日20単位の食品を表1(穀類、いもなど)で11単位、表2(果物)で1単位、表3(魚介、肉、卵、大豆製品)で4単位、表4(牛乳)で1.5単位、表5(油脂)で1単位、表6(野菜)で1単位、調味料で0.5単位に配分すると、栄養のバランスがよい食事になります。表1・3・6は毎食とり、あとは1日のなかで分けてとるのがコツです。1日3食規則正しく食べ、偏った食習慣を改善しましょう。
 

   ◆外食のコツと心得
 


上村美千留氏

 外食は、知らない人が見えない所で作っている料理であり、カロリー量がわかりにくい料理です。分量、油脂、砂糖(塩)が多く、野菜が少ない「三多一少」といわれ、一般に栄養のバランスがよくありません。しかし、社会生活上、外食は避けにくいのが現実です。したがって、外食を賢く選び、知的に食べる方法を身につけることが、糖尿病の食事療法を実践する上でとても大切です。外食は、大きな特徴として、油脂が多く使われています。例えば、揚げ物の場合、揚げ油の吸収率は天ぷらが15%、かき揚げやフライが20%と非常に高いので、なるべく脂身の少ない部分を選び、衣は全部食べず一部はずすなどの工夫をしましょう。また、マヨネーズ、バター、ドレッシング、タルタルソースなどは極力つけないようにするとよいです。洋食は生クリームやバター、ベーコン、ひき肉などが使われており、高カロリーです。中華も必ず油脂が使われているので、高カロリーですが、野菜のメニューはバランスがよいので利用できます。和食は比較的低カロリーですが、塩分が多くなりがちなので注意しましょう。砂糖は1日小匙2杯(6グラム)までです。缶ジュース1缶には砂糖が15〜30グラム入っているので要注意です。また、和食には砂糖を使った甘辛い料理がたくさんあります。自宅であれば人口甘味料を使えば、砂糖の摂取を控えることができます。
  外食時にはできるだけ定食を選び、量が多いときは残します。ファーストフードでもサラダやノンカロリーのドリンクなどを組み合わせてエネルギーを押さえる工夫をしましょう。外食のコツを覚えて上手に利用すれば、外食は害食にならず、食生活への悪影響も最低限に押さえることができます。