厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の医療保険部会は、新たな高齢者医療制度をはじめとする平成20年度の抜本改革に向けて本年5月25日開催の第15回医療保険部会において本格議論に入った。議論の主題は「高齢者医療制度全般」「国保の再編の進め方」「保険給付のあり方」「医療費適正化計画」「保健事業」等々であるが、5月〜7月に議論、8月〜9月にこれまでの議論の整理、秋の厚生労働省試案(たたき台)を経て、年内に政府・与党の成案を得る、となっている。この新たな高齢者医療制度については、年毎に膨らみ続ける高齢者医療費の抑制を促すのが狙いでもあるが、国および、健保連、日本経団連、連合等の各団体が主張する新たな高齢者医療制度の考え方に相違があり、調整の難航は必至であると思われる。
健保連の「新たな高齢者医療制度の創設を含む医療制度改革に向けての提言」は、去る3月25日開催の本部理事会で了承された。その提言の説明会は4月上旬から5月末にかけて、北海道から九州までの全国10会場・11回にわたって開催され、1,568組合・1,840人の参加をみた。参加者から寄せられた質問は、高齢者医療制度関連・再編統合関連・診療報酬医療提供体制関連等その数は118件にものぼる。
提言の焦点となる大きな柱は、1.医療保険制度体系等の基本的なあり方@社会保険方式の堅持A保険者機能の発揮B保険医療分野におけるIT化の推進。
2.新たな高齢者医療制度の基本的考え方@65歳以上の高齢者を対象に医療給付を行う制度と65歳未満の若年者に対する医療給付を行う一般医療保険制度を別建てとするA老人保健制度および退職者医療制度のような医療費を抑制できない制度は廃止し、保険者機能の強化を図るB消費税等による公費財源の確保や高齢者に対する保険料の賦課、自己負担の引き上げなど若年者負担が過度とならない制度設計とする。また、若年者負担を高齢者医療保険制度において明確に位置づける。
健保連本部においては、3月から5月にかけて日本経団連・連合・国保中央会の関係団体、厚生労働省・財務省の関係省庁や、自民党・民主党・公明党等の各政党への提言説明を行った。我が大阪連合会では、加藤会長はじめ主要役員が4月から6月にかけて大阪府医師会、関経連、大阪選出民主党国会議員、連合大阪への提言説明を精力的に行い、貴重な意見交換をしている。また、個々の組合では、組合会・機関誌・ホームページ等を通じて、今回の提言を真摯に当事者意識でもって説明を行っている。
説明会・意見交換会・内部会合等を通じて、各界・団体・内外関係者等からの貴重な意見を加味・組み入れて、当提言は若干の修正が加えられ、7月22日開催の本部総会で承認される予定である。
承認された後からが、真の正念場。クール・ビズという合い言葉が今夏言い交わされているが、医療制度改革の早期実現を目指す想いは熱く、健保連の旗のもと一枚岩となって行動は絶え間なくホットに、さらなる知恵と力を集結して是が非でもこの提言を実現に導こうではないか。 |