■2005年5月 No.404
医療制度改革に向けて
−提言内容を基本に早期実現を−
年金・介護の改革に続き、17年度はいよいよ医療制度改革の正念場である。 医療制度問題については、これまで健保連、日本経団連、日本医師会等がそれぞれの立場から医療制度改革の試案を示し意見を述べてきた。
その後、健保連では情勢の変化に併せて一部修正した「新たな高齢者医療制度の創設を含む医療制度改革に向けての提言」をとりまとめ、3月25日の本部理事会で了承され、7月の総会において決定することとしている。
この間、同提言の内容を各健保組合に周知するとともに意見を得るため全国10カ所で地方説明会を実施しており、5月末までに終了する予定である。
提言の内容については、これまで我々が要望してきた事項がおおむね網羅されている。
なかでも、「新たな高齢者医療制度」の創設は、老人保健拠出金で圧迫されてきた財政状況が改善されることに繋がり、大いに期待できるものである。
しかし、今回の提言には一部不明確な点や若干の課題が残されている。
そのひとつは、高齢者医療制度における若年者の保険料負担である。現在のところ負担の対象年齢が明らかにされていないが、提言にもあるように若年者負担が過度にならない制度設定にしなければならない。
一方、制度を支えるための公費負担5割の財源は、消費税等に頼らざるを得ない。しかしながら、消費税を福祉財源に充当することについては、一般論として非常に抵抗が強く、その実現には困難を極めることだろう。
近く、政府・厚労省から医療制度改革の原案が示される予定であるが、公費財源をどこから捻出するのか大いに注目していきたい。
2点目は、小規模・財政窮迫組合の再編の提言である。
この問題については、さきの基本方針を踏まえた規制緩和に伴う厚労省の指導のなかで取りあげているが、健保連の指針としては如何なものか。
去る3月の本部理事会において、一部理事から厳しい質問、意見が出されたと聞くが全く同感であり納得できるものではない。
小規模組合であっても、財政面も含め十二分に機能しているところが大半であり、規模によって整理統合するということにはいささか疑問が残る。
また、財窮組合においては、保険料率の引き上げ等を行うことにより自主運営に努めており、その姿勢は評価に値する。
したがって、健保連としてはその努力を支援し財政健全化に向けさらなる指導を強化しなければならないときに、今回のような提言を行うことは若干の問題がある。
財窮に陥った最大の原因は、老健・退職者拠出金の増大によるものであり、提言どおり拠出金の廃止と新しい高齢者医療制度の創設が実現されれば健全財政が構築でき、適正な組合運営を行うことが可能となる。
いずれにしても、今回の提言内容に沿って一日も早く医療制度改革が実施されるよう、全組合の力を結集して取り組んでいかねばならない。
(隆)