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高齢化により増加の一途をたどる高齢者医療費。現在は、健保組合をはじめ、政管健保、国保などそれぞれの制度から高齢者医療(老人保健)を支える費用を拠出していますが、その拠出金は各制度に重くのしかかり、深刻な財政難を招き、医療制度全体が危機的状況に追い込まれています。
健保組合では、保険料収入の約4割を拠出金が占め、この5年間で解散に追い込まれた組合は約200にのぼります。さらに、拠出金は一方的に賦課されるうえ、高齢者医療費の負担者である健保組合など医療保険者は、高齢者医療の運営に参画できないという問題点が指摘されていました。
医療保険制度の財政危機に伴い、国民一人ひとりの負担も増えてきました。高齢者の自己負担は原則定率1割負担となりましたが、被保険者本人の白己負担はすでに3割へと引き上げられているのです。現役世代の負担をこれ以上重くさせないためにも、医療費負担を制御できない現行の拠出金制度を廃止し、高齢者、現役世代ともに負担可能な制度とすることが求められています。
健保連が先月末に公表した「新たな高齢者医療制度」でポイントとなる提案は次の3点です。
@一般の医療保険制度と別建ての65歳以上を給付対象とする制度を創設する
A費用負担者が制度の運営に参画し、負担増に歯止めをかけることのできる仕組みとする。
B新制度の医療費財源は、高齢者、現役世代、公費で分担する。
政府はこれまでに「改革の基本方針」で、75歳以上の高齢者を対象に新たな制度を創設し、65〜74歳の高齢者は従来の保険制度に継続して加入する案を示していました。健保連が「65歳以上」とした大きな理由は、社会保障制度全体との整合性を図るためには年金制度や介護保険の給付開始年齢などを考慮する必要があると判断したからです。新制度の財源は、患者の一部負担のほか、加入者の保険料と現役世代からの支援、そして公費で賄うことにしています。現在でも重すぎる現役世代の負担を軽減するために、5割程度の公費負担は必要としているのが提案の一つの特徴です。さらに、新制度では、費用を負担するすべての代表が制度の運営に参画し、医療費が必要以上に増えすぎないように管理できる仕組みを同時につくるよう提案しています。
今後、法案の作成に向けて医療保険改革の議論が深まっていきますが、現役・高齢者世代がともに納得し、将来にわたり安心できる制度の創設に向け、今、国民の皆が声を上げていくことが大切です。ぜひ自分自身の問題として関心をもっていただきたいと思います。 |
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