広報誌「かけはし」
 
■2005年4月 No.403

 

17年度事業計画と予算決まる
−医療制度改革の早期実現に全力−



 
 健保連大阪連合会は3月29日、ホテルモントレ大阪で総会を開き、平成17年度の事業計画と収入支出予算を決定した。

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 健保連では、昨年の全国大会において、医療制度改革の確実な実現を目指して決議した「拠出金の廃止と医療制度改革の早期実現」「費用負担者の意向が反映される介護保険制度の実現」「良質で安心できる患者中心の医療の実現」「社会保険方式の堅持と保険者機能の強化」を柱に、医療制度改革に向け、精力的に取り組んでいる。
 とりわけ、高齢者医療制度については、現行の拠出金制度の問題点が解消され、持続可能な別建ての制度を創設すべく、ワーキンググループにおける論議などから、@65歳以上を対象とした制度A医療費の効率化、適正化に資する保険者機能の強化B負担可能な若年者負担の制度設計と運営への参画を重要事項として、社会保障審議会医療保険部会等に臨み、健保連の考え方を主張していくこととしている。
 医療制度改革法案は、平成18年度に国会に提出されることが決定しており、本年は、それに向けての考え方を集約させねばならない重要な年である。新しい高齢者医療制度の創設はいうまでもなく、再編統合・医療提供体制・保険者機能の強化・診療報酬・介護報酬体系の見直しなど、制度改革関連の課題は、目白押しであり、制度改革を実現するための諸活動には、全健保組合が結集して力強く推進することが極めて大切である。
 大阪連合会では、各健保組合・各地区会等を通じて、理事会や各委員会で大いに議論し、意見を集約して本部に反映してきたが、正念場を迎えてより一層気を引き締めて実りある一年となるよう努力を重ねていかねばならない。

総会の経過
   加藤会長が議長となり、総会の議事録署名者に、阪急バス健保組合、大阪府電気工事健保組合を指名、議案の審議に入った。
 なお、総会開会に先立って、近畿厚生局梶原社会保険管理官、大阪社会保険事務局置田保険部長からあいさつがあった。
   
 議案第1号
  平成17年度事業計画(案)
 議案第2号
  平成17年度収入支出予算(案)
 議案第3号
  平成17年度支出予算の款内各項間の流用を理事会に委任すること
  以上の3議案を一括上程し、いずれも原案どおり承認された。
 議案第4号
  平成16年度特別保健福祉事業推進助成事業会計収入支出予算(平成17年3月15日理事会専決)
 本部総会において全国一括決議を受けている旨報告、承認された。
 
   以上のとおり、全議案の審議が終了した後、来賓として出席された健保連本部横関常務理事から新たな高齢者医療制度の創設を含む医療制度改革に向けての提言を中心に中央情勢報告があった。
   
○当日の出席状況
  出 席 177組合  
  委任状 34組合  
○来 賓
  近畿厚生局 社会保険管理官 梶原 健治氏
    社会保険課長 田村 和正氏
  大阪社会保険事務局 保険部長 置田 公作氏
  保険管理課長 柴山 和雄氏
  健保連本部 常務理事 横関  優氏
  大阪連合会 特別顧問 松本 良諄氏
  岡澤 元大氏
    顧問 早司 欣弘氏
 
 加藤会長あいさつ (要旨)
 平成17年度の健保組合の予算および平成16年度決算見込状況のデータについては、集計中でいまのところ詳細は出ていませんが、総報酬制と本人3割負担により健保組合の財政状況もいまのところ小康状態にありますが、依然として拠出金負担が組合財政の圧迫要因となっており、このままでは早晩、再度危機的状況に陥ると予想されます。
 一方、デフレ圧力が緩み、景気指標には明るさが見えるものの、17年度以降は予断を許さない状況が続くものと思われます。
 さて、当面の最重点課題は、拠出金を廃止して新しい高齢者医療制度を創設することでありますが、このほど本部のワーキンググループを中心に精力的に議論を重ね3月25日の理事会で健保連の案がまとまりました。
 その内容は、
@一般医療保険制度と65歳以上の高齢者医療制度をそれぞれ別建てとする
A保険者機能を発揮し医療費の適正化に対してインセンティブが働く仕組みを構築する
B若年者負担が過度とならない制度設計、公費投入と若年者負担を明確に位置づける
 との考え方であります。超高齢社会を迎える日本。高齢化がどんどん進めば医療費が増えるのは当然ですが、高齢者医療費の大半を支えているのは若い現役世代です。大切なのは高齢者医療費に歯止めをかけることができ、高齢者、現役世代ともに安心して医療を受けることができる制度の構築であり、今後審議会などで私達の考え方を強く主張していくこととしております。皆様方におかれましても、この案を広め、かつ深めていくように、どうかよろしくご尽力のほどお願いします。
 昨年の年金、今年の介護に続き、今年から来年にかけていよいよ医療制度改革の正念場を迎えることとなります。その他にも医療提供体制の見直し、中医協の見直し、診療報酬の改定に向けた動き、介護報酬、再編統合など課題は山積しており、今後も健保連の主張を実らせるべく、さらに衆知を集め議論をかさねていかなければならないと思います。
 また、4月1日からは、個人情報保護法、ペイオフが完全施行されます。健保組合にとっても新たな対応が求められており、何かとご多用のことと存じますが、どうかご支援ご協力賜りますようお願い申し上げます。
 本日の総会の主な議題は平成17年度事業計画および予算となっておりますので十分にご審議いただきますようお願い申し上げ私の挨拶とさせていただきます。


事 業 計 画
 
1.医療制度改革に関する対応および組織活動の推進等
(1)医療制度改革の推進に関する活動
   健保連本部との連携を一層密にして、医療制度改革の早期実現に向け、粘り強く取り組む。
  @健保連本部と相呼応しながら理事会・委員会・地区会活動を積極的に推進する。
拠出金制度廃止が明確になったいま、過度な負担が伴わない公平な高齢者医療制度を創設することは、すべての健保組合が強く期待するところであり、一刻も早く実現するよう取り組む。
A医療制度改革の実現は、政治主導によるところが大きく、政党、国会議員への陳情活動を一層積極的に推進する。また、行政機関との連携を密にした健保組合運営の支援活動を行う。
B医療制度改革について経営者団体および労働団体と政策調整会議を開催し連携を強化するほか、医師会等医療関係団体との協議や広報活動を通じて健保連の考え方の浸透を図る。
C保険者協議会の活動を通じて、医療費の適正化や保健事業の推進を効果的に推進する。
D退職者給付拠出金が急増するなか、国保運営協議会および退職者医療関係団体協議会の充実を図る。
E患者中心の医療の実現のため、けんぽれん病院情報(ぽすぴたる)への大阪府下病院の登録促進について、健保連本部と連携をとりながら引き続き積極的に取り組む。
F健保連本部地域懇談会へ参加し、大阪連合会の意見を反映させるとともに、近畿地区各連合会とも連携した活動を推進する。
Gその他、事態に即応した諸対策を実施する。
(2)組織活動の継続強化
   大阪連合会の意思決定および情報連絡等が円滑に推進できるように、理事会および委員会活動を強化するとともに、緊密な連携のもと地区会活動の促進を図る。
  @理事会および総会を開催する。
A必要に応じて、地区正副会長会議、各種委員会会議等を開催して対策を協議する。
B地区会の機能を中心とした諸活動の充実を図る。
C新年互礼会(第40回)を開催する。
(3)組合運営に対する支援活動
   会員組合の円滑な業務推進に資するため支援活動を実施する。
@会員組合に提供する情報の充実を図る。
A組合予算編成および組合事務に関し、行政機関および健保連本部と連携を密にして円滑に推進する。
B組合予算編成事務説明会を開催する。
C永年勤続者表彰伝達式を挙行する。
D会員組合に対する交付金交付事業を支援する。
E個人情報保護に関する支援活動を実施する。
F会員組合に有効な健保事務相談、法律相談、レセプト相談等支援事業を実施する。
 
2.広報活動の推進
 医療制度改革の確実な実現に向けて広報活動の充実を図るため、次の事項を実施する。
(1)機関誌「かけはし」の発行
@次の項目を重点的に掲載する。
・医療制度等の改革。
・大阪連合会の事業活動。
・健康保険組合の財政と事業運営。
・大阪中央病院を支援するための広報。
(2)広報活動の強化
@健保組合の広報事業を促進するため「広報研究会」を開催する。
A大阪連合会ホームページを充実強化する。
(3)関係団体等に対する対外広報宣伝の強化
@経営者団体および労働団体との情報交換を強化する。
A地元選出国会議員との情報交換を強化する。
Bその他、必要に応じ関係者との情報交換を強化する。
 
3.会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善・合理化の推進
 会員組合役職員の資質向上と、組合業務の改善と合理化に資するため、研修・講習会等次の事業を実施する。
(1)会員組合役職員の資質向上に関する事業
@「事務長研修会」を開催する。
A「組合業務別実務講習会(適用・給付・徴収・庶務会計関係)」を開催する。
B個人情報保護にかかる研修を実施する。
C健保事務相談コーナーを開設する。
(2)組合業務の改善・合理化の推進に関する事業
    「パソコン研修会(3日コース)」を充実する。
 
4.医療費等適正化対策の推進
  医療費等の適正化対策を推進するため、次の事業を実施する。
(1)行政機関・医療関係諸団体との連携強化
@大阪社会保険事務局との打ち合わせ会を開催する。
A医師会・歯科医師会および柔道整復師会との打ち合わせ会を開催する。
B国保運営協議会委員の活動強化を図る。
C大阪府保険者協議会との連携を図る。
(2)支払基金との連絡・調整の緊密化
@事務連絡調整会議および事務連絡協議会を開催する。
A専任審査員との打ち合わせ会を開催する。
(3)医療費等適正化に関する情報の収集と活用
@医療費の地域格差の是正を推進する。
A高齢者医療費の適正化を推進する。
B柔道整復・鍼灸療養費にかかる支給の適正化を推進する。
C高額レセプトの点検結果を活用して医療費の適正化を推進する。
(4)レセプト点検に関する調査・研究の強化
@レセプト点検に関する情報を広範囲に交換し、調査・研究活動を推進する。
Aレセプト点検に関する研修会を開催する。
B地区会レセプト研究部会に、審査・減点事例集およびレセプト点検の手引きを配布し、その活用を図る。
C診療報酬に関する説明会等を開催する。
(5)医療対策室の活動強化
@高額レセプト点検取扱要領に基づきレセプトの点検を実施する。
Aレセプト・保険給付相談コーナーを開設する。
 
5.健康開発共同事業の推進と保健福祉共同事業の実施
 「健康日本21」および「健康増進法」の趣旨を踏まえ、個人情報保護に配慮しつつ会員組合における生活習慣病予防等の一次予防に重点を置いた健康管理事業の推進に寄与するため、健保連本部の健康開発共同事業の実施方針に基づき、次の事業を効率的に実施するとともに、特別保健福祉事業を継続実施する。
(1)健康教育の実施
@「健康教室」を開催する。
A「心の健康講座」を開催する。
(2)健康・体力づくり事業等の実施
@「健康づくり教室」を開催する。
A健康ウォーク事業を後援する。
B運動奨励事業を実施する。
Cプール利用券の斡旋を行う。
(3)保健活動の実施
@保健共同事業の利用促進により保健師活動の普及・拡大を図る。
A保健事業を発展させ、実効ある保健師活動を実施する。
B保健師連絡協議会への加入促進を支援する。
C健保連大阪中央病院の健康管理センターと連携し、会員組合の保健事業の推進に協力する。
(4)共同利用施設の契約
    体育施設・保養施設の共同利用の契約と利用促進を図る。
(5)エイズ等感染症対策
    エイズ等感染症に対する正しい知識の普及啓発に努める。
(6)特別保健福祉事業の継続実施
    別途、本部方針に基づき計画する。
(7)個人情報保護については、健保連本部と連携して遵守義務等の徹底を図る。
(8)大阪府保険者協議会との連携を図る。
 
6.総合組合の運営助成
 総合組合の運営に資するため、次の調査・研究に関する事業を実施する。
(1)総合組合の実態に関する調査資料の作成

(2)その他、必要と認めた事業

 
7.近畿地区各連合会との連携
 諸事業の実施に際しては、必要に応じて近畿地区各連合会と連携を図り、近畿地区での活動を積極的に推進する。
 

平成17年度収入支出予算概要(単位 千円)