広報誌「かけはし」
 
■2005年4月 No.403
時評

どうしても減らない
―資格関係誤りレセプト―


 大阪府社会保険診療報酬支払基金は、資格関係誤りレセプト発生防止のため、保険者・医療機関に対し協力を求めている。支払基金のまとめによると、平成16年1月から12月までの資格関係再審査調整状況は、大阪府下では52万件、72億円にも達する。そのうち健保組合分は、件数で13万5千件、金額にして13億9千万円となっている。  支払基金は平成12年から「資格関係誤りレセプト発生件数半減3カ年計画」を実施した。現在は、全国一斉に8月と2月の月間にキャンペーン活動を行ったり、誤りレセプトの多い医療機関に対する面接懇談や文書連絡による積極的な取り組みを進めているにもかかわらず、目標とは大きくかけ離れた結果となっている。現在のところ、年度を追うごとに増加傾向にあり、とくに3月から4月については、就職・転職・退職・転勤等により資格の変更が多くなっている。これにくわえて昨今の社会情勢から被保険者の得喪が発生し、誤りレセプトの自然増を引き起こしており、種々の取り組みによる成果を呑み込んでいると支払基金では分析しているようである。  資格関係誤りレセプトの発生は、保険者のみならず支払基金・医療機関においても、その対応に多大な時間・労力を費やすこととなり、大きな負担となっている。  誤りで多いのは、「資格喪失後の受診」が最も多く38・3%を占め、次いで「本人・家族の誤り」が16・5%、「記号・番号の誤り」15・0%と続いており、これらを合わせると69・8%にのぼっている。  4割を占める喪失後受診に、被保険者証(以下「証」という)未回収による受診がそんなに多くあるとは思えないし、その他の原因もほとんどが、証の確認を確実に行えば、解決することにならないだろうか。  とはいえ、資格喪失後の証の早期回収や、受診時に受給資格確認のため、証を提出するよう被保険者教育などは保険者の責任。誤りレセプトの多い医療機関に対する面接懇談・文書連絡の強化、誤発送の防止などは支払基金。証による資格確認や記号・番号の転記誤り、窓口での本人・家族の確認の徹底など、正確なレセプト作成は医療機関。三者がそれぞれの立場で努力し、資格関係誤りレセプト解消に向けた大きな効果を期待したいものである。
  (宏)