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井上雅裕氏 |
痛風とは関節内に尿酸結晶が析出して関節炎を起こす病気です。好発部位は足の母趾MP関節。突然の激痛と関節の腫れが起こり、2〜3日続きます。症状は2週間ぐらいで完全に消失しますが、初回発作から平均1〜2年で2回目の発作が起こり、次第に発作の間隔が短くなります。
患者の99%が男性で好発年齢は30〜50歳ぐらい。若年齢化しているのが特徴です。かつては帝王病といわれていましたが、今は一般の人にも起こる病気になってきました。
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●過食や飲酒に注意 |
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痛風の原因となるのが高尿酸血症です。尿酸値が7mg/dl以上になると尿酸が体内で結晶します。さらに、8・5mg/dl以上になると、痛風発作が非常に起こりやすくなります。尿酸は体内のプリン体が分解されるときに生じるもので、プリン体の分解が激しいと尿酸値が上昇します。とくに美食や過食、大量飲酒、肥満、激しい運動、ストレスなどによって尿酸がつくられます。
痛風関節炎には3つの診断基準があります。A・尿酸結晶が関節液のなかに存在する、B・痛風結節がある、C・2回以上の急性関節炎の既往がある、24時間以内に炎症がピークに達する、単関節炎、関節の発赤など11項目のうち6項目以上を満たす場合、のいずれかの条件に適合すれば痛風と診断されます。
高尿酸血症は痛風関節炎のほか、尿路結石や腎不全を引き起こします。さらに、この病気は栄養過多によって起こるため、生活習慣病を併発することも多いので注意が必要です。高尿酸血症には尿酸産生過剰型、尿酸排泄低下型、混合型の3タイプがあります。 |
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●尿酸値抑制で予防 |
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「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」(日本痛風・核酸代謝学会)では、痛風関節炎は血清尿酸値を4・6〜6・6mg/dlにコントロールしたときが最も発症率が低いとしています。さらに、腎障害や尿路結石を発症、進展させないこと、生活習慣病の合併予防、血清尿酸値を6mg/dl以下にコントロールすることを指導しています。痛風関節炎は投薬で治療しますが、副作用があるので服用には注意が必要です。実際の治療は関節炎が治まったところから考えるべきで、高尿酸血症に対する治療をします。肥満解消を第一に、食事療法を実施、とくに摂取エネルギーを適正化して、海草類や豆類、野菜など尿をアルカリ化する食品を摂ることが重要です。ほかにアルコール摂取の制限、適度な運動、ストレスの解消などをすすめます。痛風予防は尿酸をコントロールし、尿路結石を予防することが一番大切です。これらをいかに日常生活で実践するかが鍵です。 |
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