広報誌「かけはし」
 
■2005年2月 No.401
時評

改革案への反映に向け
―世論を形成するリーダーシップの発揮を―


 昨年の12月22日、健保連本部理事会において、「18年度の医療制度改革に向け17年2月を目途に健保連としての改革案を取りまとめる」という方針が示された。この方針発表について健保連本部の強い決意の現れであると頼もしく受け止めた組合も多いのではないだろうか。
 健保組合の財政見込みは、総報酬制の導入や患者負担の3割への引き上げの影響により収支が改善されたとはいえ一時的な小康状態にすぎない。
 相変わらず老人保健や退職者医療の拠出金負担は保険料収入の4割を超えており、健保組合財政は引き続き予断を許さない厳しい状態であることに変わりはない。
 加えて、一昨年閣議決定された医療制度の「基本方針」は老人保健、退職者医療制度を廃止し、新たな高齢者医療制度を創設する方針を打ち出してはいるが、肝心の具体的な内容についての議論は先送りにされたままである。
 このような背景のもと、今年を「改革本番」と位置づけ2月に健保連としての改革案を当初予定よりも前倒ししてまとめ積極的な活動の展開を進めるという本部の動きは時を得たものであり我々の最も望んできたことでもある。
 ところで、社会保険庁は昨年末政管健保の今後5年間の収支見通しを立て、「事業運営安定資金が4年後には枯渇し700億円の赤字が生じ、この先、制度改革などによる医療費適正化の処置が講じられなければ保険料を引き上げる必要が生じる」と公表した。さらにその主原因はこのままだと平成15年度から減少してきた老健拠出金が平成20年度から上昇に転じるため、としている。
 このことについては、我々は早くから危惧してきたことであり「一刻も早い改革の早期実現を」と訴え続けてきたことでもある。担当省庁は、今頃何をのんびりと分析しているのか、と違和感を感じるとともに、今まで我々が主張してきたことが果たして理解されてきたのだろうかという疑問すら湧いてくる。
 今年は「改革本番」という正念場を迎え、誰にはばかることなく外部に向かってさまざまな手段で「健保組合はこう考える」という主張を力強く繰り返し訴え続け世論を形成する必要があるのではないか。
 そのためにも、何よりもまず、健保連としての明快な改革案を早く提示し内部の意思統一を図ることが肝要である。
 国民の3分の1の加入者に対して責任を有する健保組合が医療制度改革の世論を盛り上げリードしていくという姿勢を貫くことが、国の改革案への意見反映と早期実施を可能にするものと考える。
 今年こそ、全健保組合と本部が一丸となって活動を推進し、成果に結びつける年にしなければならない。
  (T・N)