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■2004年12月 No.399 |

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「嗜癖〜タバコ・薬物からギャンブルまで〜」をテーマに、11月12日、薬業年金会館で大阪府こころの健康総合センター相談診療部長の漆葉成彦氏による、心の健康講座が開催されました。 |
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●わかっていてもやめられない |
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漆葉成彦氏 |
嗜癖とは、やめなければいけないとわかっているのにやめられない状態、自分に不利益をもたらす習慣をさし、医学的には依存といいます。アルコールやタバコ、薬物などのものに執着する物質嗜癖と、摂食障害や病的窃盗、病的賭博、仕事依存など何らかの行動に対する嗜癖をさす過程嗜癖があります。特徴はいずれも慢性、進行性であること。はじめは一定の利益があっても、だんだん不利益をもたらすものになります。2つ目に、家族など周囲の人をも巻き込みます。3番目に、自分の力ではどうにもならず、人に何とかしてもらえるものでもありません。主症状は、嗜癖の対象となる行動へのコントロールの喪失と、渇望。酒なら適量でやめるコントロールができず、飲みたくてたまらない状態になります。
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●嗜癖は否認の病 |
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嗜癖は否認の病ともいわれます。第1の否認は「自分の○○には問題がない」というもの。たとえば「私の喫煙には問題がない。やめようと思えばいつでもやめられる」というような否認です。第2の否認は「私は○○以外に問題がない」というもの。しかし、嗜癖に陥っている人の大半は他に何らかの問題があるものです。自分はどうしようもないことを思い知らされる「底つき体験」をしなければ否認は打ち壊せません。
よく見られる嗜癖にニコチン依存があります。ニコチンには興奮作用と鎮静作用があり、依存になりやすい薬物の要素を2つとも備えています。しかも精神依存と身体依存の両方の症状があります。覚醒剤は精神依存性の強い薬物ですが、身体依存はありません。
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●対処法、治療法がある |
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ニコチン依存の治療法は禁煙。禁煙すると不快や抑うつ、不安、集中困難などの離脱症状がでますが、最近はニコチンパッチやニコチンガムを使うニコチン置換療法が登場したので禁煙しやすくなっています。
ギャンブルがやめられないのも病的賭博という依存です。ギャンブルにとらわれている、興奮を得るために掛け金の額を増やしたい欲求がある、ギャンブルを減らしたりやめたりすると不安やイライラを感じるなどの症状に当てはまれば、立派なギャンブル依存です。治療は可能で、精神療法や薬物療法のほか、自助グループもあります。
依存は本人もやめたいと思いながらやめられない状態です。しかし、多くの依存には対処法や治療法などがあるので、受診、相談をすすめていただくことが大切です。
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