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年の瀬を迎え、依然として我々健康保険組合を取りまく情勢は厳しい状況にある。健康保険組合は、国民皆保険体制の中核的役割を果たしてきたが、高齢者医療費の負担金である拠出金の負担の重圧により、ここ5年で約200組合が解散に追い込まれた。健保組合財政は、15年度決算見込みは1、386億円の黒字、16年度予算は276億円の赤字となっており、過去最悪となった14年度決算3、999億円の赤字に比べると若干の改善が見込まれている。しかし、あくまでさきの制度改正による「小康状態」である。総報酬制の導入により組合間の財政格差が拡大し、財政を圧迫する拠出金の重圧も依然続いており、今後の状況は必ずしも予断は許されず、解散組合が発生する恐れが強いと考えられる。
健保連は、これまで赤字の最大の原因が拠出金にあることを訴え、拠出金制度の廃止と一般の医療制度とは別建ての高齢者医療制度の創設を主張してきた。昨年3月に閣議決定された改革の基本方針のなかで拠出金制度を廃止するとしているが、新たな高齢者医療制度の創設では、現行の拠出金制度が抱える多くの問題点がどこまで解決されることになるのだろう。拠出金が形を変え、同じ手法によって財源調達されることが断じてないようにしなければならない。
このような状況下、社会保障審議会医療保険部会は18年改革に向けた第2ラウンドの議論を開始した。しかし、今後のスケジュールでは、年明けの1〜3月は再編・統合、4〜6月は高齢者医療制度を審議し、8月末ごろ医療保険制度改革の全体像を取りまとめることとなっている。このスケジュールでは改革の中心課題である高齢者医療制度の論議は、大幅な先送りで、制度の具体案は提示されず、今後の審議が危惧される。
さきの年金改革の過程で噴出した社会保障に対する国民の不安を解消するとともに信頼回復のため医療、介護改革議論は十分に尽くされ、国民に対しても十分な説明がなされ納得のいくものにしてもらいたい。
健保連は、このような情勢のなか平成16年度健康保険組合全国大会を11月19日に開催した。大会は「医療保険制度改革の確実な実現を目指して」と位置づけ拠出金廃止と医療制度改革の早期実現に向けた活動方針を決議したほか、全国の健保組合が一丸となって国会対策や日本経団連・連合との連携を密に取り組むことを決めた。
今後も世界に冠たる国民皆保険制度を堅持し、良質かつ適切な医療の確保を図り、発展させていくためにも更なる医療保険制度改革の実現は必要不可欠である。 |
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(宏) |
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