広報誌「かけはし」
   
■2004年12月 No.399

―医療保険制度改革の確実な実現を目指して―

 
 平成16年度健康保険組合全国大会が11月19日サ、東京・丸の内の東京国際フォーラムで開催され、全国の1、590健保組合の代表約5、000人が参加した。
 大会は、千葉一男健保連会長の基調演説につづき、来賓の西博義厚生労働副大臣、関係団体から日本経団連の矢野弘典専務理事、連合の草野忠義事務局長それぞれあいさつがあった。引き続き、対馬忠明健保連専務理事から最近の情勢報告および決議の趣旨説明の後、抜本改革実現に向けて総力をあげて取り組む決意を表明した大会決議を満場一致で採択した。

 


 

決           議

 健康保険組合は、国民皆保険制度の担い手として常に先駆的な役割を果たしてきたが、増大する拠出金負担の重圧等によりこの数年間で約200組合が解散に追い込まれた。総報酬制の導入などにより健保組合財政は、全体でみれば一時的に「小康状態」にあるが、拠出金制度が続く限り、破綻の道をたどるのは必至であり、早期の医療制度改革が不可欠である。
 医療制度改革にあたっては、現行拠出金制度の問題点を解消した別建ての高齢者医療制度の創設を急ぐ必要がある。また、同時に有益な情報の提供による良質で安心できる患者中心の医療を実現するとともに、医療費適正化等の観点からの保険者機能を強化することも喫緊の課題である。介護保険制度の見直しにあたっては、費用負担者である医療保険者等の意向が反映される必要がある。
 ここに、次の事項の実現に向け、本日参集した我々の総意として決議する。

 1. 拠出金の廃止と医療制度改革の早期実現
   保険者が拠出金負担の決定プロセスに全く関与できず、一方的に賦課されるという現行拠出金の問題点を解消し、一般医療保険制度とは切り離した65歳以上を対象とする別建ての高齢者医療制度を早期に実現すべきである。

 2. 費用負担者の意向が反映される介護保険制度の実現
   現行介護保険制度の財源を支える最大の負担者である事業主、第2号被保険者及び各医療保険者が、介護保険の運営や介護納付金負担の決定に実質的に関与できる仕組みを創るとともに、制度の持続安定性の観点から介護納付金の負担に上限を設けるべきである。

 3. 良質で安心できる患者中心の医療の実現

 

 医療過誤をなくし、安全で質の高い医療サービスを目指して、患者自らが良質な医療機関を選択できるような情報の提供や根拠に基づく医療(EBM)、インフォームド・コンセント(説明に基づく同意)などの推進を図るべきである。

 4. 社会保険方式の堅持と保険者機能の強化
   医療保険は、自助・共助に基づく社会保険方式を基本とし、被用者保険と地域保険の二本建ての体系を堅持すべきである。また、医療費適正化等の観点から保険者機能の強化を図るべきである。
 

平成16年11月19日  医療保険制度改革の確実な実現を目指して
−平成16年度健康保険組合全国大会−

 

 全国大会決議に引き続き、組合大会としては初めての試みとなる特別シンポジウム「医療・介護を合わせた制度改革の実現を目指して」では、白梅学園短期大学教授の山路憲夫氏をコーディネーターに、自民党の丹羽雄哉氏(党社会保障制度調査会長)、公明党の坂口力氏(党副代表・前厚生労働大臣)、民主党の仙谷由人氏(党政策調査会長)をシンポジストに招き、医療・介護制度改革に対する与野党の基本的考え方の把握や今後の方向性を見定めることを目的に実施した。
 このなかで、西本稔クボタ健保組合常務理事は、新しい高齢者医療制度は、65歳以上の高齢者を対象に自身の保険料、若年者の支援、公費で賄うひとつの制度とし、64歳以下は、保険料中心の自立した保険制度とすべきだと会場から提案した。これに対し、丹羽氏は、「公費2〜3割を投入すべき」との考えを示した。