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「たばこと健康〜事業所における喫煙対策〜」をテーマに、健保連大阪中央病院内科・呼吸器グループ医長の武田悦子氏による健康セミナーが10月13日、大阪中央病院で開催されました。 |
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武田悦子氏 |
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◆喫煙率高い日本 |
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現在、我が国の成人喫煙率は男性約53%、女性13%程度で、欧米の先進国が2〜3割なのに対して先進国のなかではとくに高い値を示しています。これはたばこの積極的な販売促進や、喫煙を阻止するための公衆衛生活動の遅れなどに起因すると考えられます。喫煙流行とたばこ関連疾患の関係を調査すると、たばこ関連疾患はたばこの流行を追いかけるように増加していくことがわかります。
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◆受動喫煙の危険性 |
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たばことがんの関係は周知の事実ですが、喫煙者のがんによる死亡の危険性は非喫煙者に比較すると、咽頭がんで32・5倍、肺がん4・5倍、口腔がん2・9倍など飛躍的に上がります。ほかにも虚血性心疾患、消化器疾患、呼吸器疾患などにもなりやすくなります。とくに呼吸器疾患は肺気腫など治りにくい病気ばかり。禁煙が重要です。
たばこで大きな問題となるのが受動喫煙。これはたばこ煙の混じった空気「環境たばこ煙」を吸わされる状態をいいます。受動喫煙で吸う副流煙には主流煙より化学物質が含まれ、とくに発がん性のきわめて高いNニトロソジミチルアミンは主流煙の20〜100倍含まれています。かなりの人が受動喫煙させられていることが調査などからわかっています。昨年施行された健康増進法では25条で受動喫煙の防止が定められています。
これを受け、職場における喫煙対策のためのガイドラインでは喫煙者と非喫煙者が配慮しあった喫煙対策として、空間分煙のために、排気装置があり、煙が漏れない喫煙場所の設置を進めています。煙を漏らさないために、喫煙室を陰圧にし、毎秒0・2メートルの空気の流れを確保するよう決められています。
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◆減煙より断煙を |
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喫煙者の一定の割合の人はやめたい、あるいは本数を減らしたいと考えながら喫煙習慣を続けています。それは身体的、精神的にたばこ依存になってしまっているからです。禁煙時に一番困るのが離脱症状。24時間以内に不快や抑うつ、不眠、不安などさまざまな症状がでます。これを乗り越えるためにはニコチンパッチやニコチンガムの使用をおすすめします。減煙はかえって長期にわたって離脱症状が現れます。全く吸わない方が離脱症状に苦しむ期間は短くなるので、断煙をおすすめします。禁煙の効果は20分で血圧が正常になり5年で肺がんのリスクが半減するなどいいことばかり。世のなかの流れも禁煙、分煙に向かっています。勇気を持ってたばこで健康を害されないよう、がんばってください。
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