広報誌「かけはし」
 
■2004年4月 No.391

 

16年度事業計画と予算決まる
−医療制度改革の早期実現に全力−

 健保連大阪連合会は3月31日、ホテルモントレ大阪で総会を開き、平成16年度の事業計画と収入支出予算を決定した。
 
 健保組合の財政は、昨年4月に実施された総報酬制や7割給付の導入にもかかわらず、老人保健・退職者給付両拠出金の過重な負担や、被保険者の減少、平均標準報酬月額の減少など景気低迷による母体企業の影響も大きく、依然として収支均衡が図れない厳しい状況が続いており、解散を余儀なくされる組合が跡を絶たない。平成16年度も引き続き厳しい環境のなかで財政的に行き詰まる組合が予測されることでもあり、健保財政の一刻も早い立て直しが必要である。
 特に、最大の課題である新しい高齢者医療制度創設の具体化については、厚労省が基本方針で前期高齢者と後期高齢者の方向性を示し、なかでも「制度間の前期高齢者の偏在による医療費負担の不均衡を是正する制度とする」は、退職者給付拠出金が急増していることでもあり、拠出金に変わる過重な負担とならないよう本格的論議に対応していかねばならない。
 大阪連合会では、理事会、委員会、地区会等を通じて医療制度改革の論議を重ねてきており、健保連本部にその意向を伝えていくなかで、引き続き全力を傾注して医療制度改革の早期実現のため取り組んでいきたい。

総会の経過
   加藤会長が議長となり、総会の議事録署名人に、大阪瓦斯健保組合、大阪機械工具商健保組合を指名、議案の審議に入った。
   
 議案第1号
  平成16年度事業計画(案)
 議案第2号
  平成16年度収入支出予算(案)
 議案第3号
  平成16年度支出予算の款内各項間の流用を理事会に委任すること
  以上の3議案を一括上程し、いずれも原案どおり承認された。
 議案第4号
  平成15年度特別保健福祉事業推進助成事業会計収入支出予算(平成16年3月18日理事会専決)
 本部総会において全国一括決議を受けている旨報告、承認された。
 
   以上のとおり、全議案の審議が終了した後、来賓として出席された健保連本部下村副会長から拠出金問題・年金改革関連等について本部の見解が中央情勢報告としてあった。
   
○当日の出席状況
  出 席 180組合  
  委任状 33組合  
○来 賓
  近畿厚生局 社会保険管理官 梶原 健治氏
    社会保険課長 山田 義則氏
  大阪社会保険事務局 保険部長 置田 公作氏
  保険管理課長 柴山 和雄氏
  健保連本部 副会長 下村  健氏
  大阪連合会 特別顧問 松本 良諄氏
  特別顧問 岡澤 元大氏
    顧問 内田 一男氏
    顧問 早司 欣弘氏
 
 加藤会長あいさつ (要旨)
 健康保険を取り巻く状況についてですが、昨年の健保組合全国大会は、「医療制度改革の早期実現を求める総決起大会」として、医療制度改革の前倒し実施や拠出金制度の廃止などを決議するとともに、危機的状態にある健保組合の窮状を訴え、緊急対策の必要性を強調して関係方面に陳情活動を行いました。
 また、今国会で論議されている年金改正法案は、あとに続く介護・医療制度の抜本改革の進展のためにも、ぜひ早期の成立を図ってもらいたいと思います。政府は医療制度改革法案を18年の通常国会に提出する予定ですが、健保連では今後の医療保険部会における改革の議論や介護保険部会の制度見直し論議の進展状況を踏まえ、6月中を目途にこれら諸課題に対する考え方を集約すると表明しました。
 いずれにしても、健保組合にとって最も有効な活動を展開していかねばなりませんので、皆様のご理解ご協力をお願いしたいと思います。
 ところで、健康保険組合の財政につきましては、平成14年度決算で、経常収支は4、003億円と過去最悪の赤字を計上し、赤字組合も1、347組合、全組合の8割以上に上っております。
 これは、いうまでもなく保険料収入の43・9%にも達する拠出金によるところが大きく、歯止めのかからぬ拠出金負担が組合の財政を窮地に追い込んでいる惨状は目を覆うばかりであります。
 大阪連合会におきましても、赤字組合数が182組合と、全体の86・3%、全国80・6%よりもさらに深刻な状況となっており、現行制度の下では、もはや安定した運営は望むべくもありません。
 また全体としての15年度決算見込みでは、経常収支で206億円の黒字ですが、赤字組合は694組合に上っており、16年度予算も8割強の組合の速報では、経常収支で179億円の赤字、赤字組合は710組合となっており、依然として厳しい状況に変わりはありません。
 医療制度改革については、今後具体的な検討が始まります。
 健保連としては、単なる財政対策ではなく、保険者機能を十分に発揮しつつ、将来にわたり安定的な運営が可能な、真の制度改革の実現に向け、今後も取り組んでゆきたいと思っています。
 また今年7月には参議院選挙が予定されていますが、大阪連合会では、昨年8月には大阪で、11月の全国大会では議員会館で、大阪府選出の衆・参両議員に陳情を実施し、前倒しでの医療制度改革の早期実現と、組合財政危機に対し当面の緊急措置の実現を強く要請しました。医療制度改革には政治が大きな影響力をもっておりますので、健保の立場をよく理解した候補者を当選させるべく支援してまいりたいと思っております。
 健保連では、病院情報の愛称を「ぽすぴたる」としてより親しみやすいサイト運営をめざしていますが、登録医療機関は3月11日現在、全国で2、391(26・2%)、大阪で185(33・4%)となっています。大阪連合会としましても皆様のご協力を得て登録の促進に力を注いでまいりたいと思っています。

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事 業 計 画
 
1.医療制度改革に関する対応および組織活動の推進等
(1)医療制度改革の推進に関する活動
   健保連本部との連携を一層密にして、医療制度改革の前倒し実施に向け、粘り強く取り組む。
  @医療制度改革の早期実現のため、健保連本部と呼応しながら理事会・委員会・地区会活動を積極的に推進する。拠出金制度廃止が明確になった今、過度な負担が伴わない公平な高齢者医療制度を創設することは、すべての健保組合が強く期待するところであり、一刻も早く実現するよう取り組む。
A医療制度改革の実現は、政治主導によるところが大きく、政党、国会議員への陳情活動を強化するとともに、行政機関との連携を密にした活動を行う。
B医療制度改革について経営者団体および労働団体と政策調整会議を開催し連携を強化するほか、医師会等医療関係団体との協議や広報活動を通じて健保連の考え方の浸透を図る。
C退職者給付拠出金が急増するなか、国保運営協議会および退職者医療関係団体協議会の充実を図る。
D健保連本部と連携して「患者中心の医療」の実現のため、「けんぽれん病院情報」への大阪府下病院の登録促進に取り組む。
E近畿地区各連合会との連携を密にした活動を推進する。
Fその他、事態に即応した諸対策を実施する。
(2)組織活動の継続強化
   新役員のもと、大阪連合会の意思決定および情報連絡等が円滑に推進できるように、理事会および委員会活動を強化するとともに、緊密な連携のもと地区会活動の促進を図る。
  @理事会および総会を開催する。
A必要に応じて、地区正副会長会議、各種委員会会議等を開催して対策を協議する。
B地区会の機能を中心とした諸活動の充実を図る。
C新年互礼会(第39回)を開催する。
(3)組合業務に対する支援活動
   会員組合の円滑な業務推進に関する事業等支援活動を実施する。
@会員組合に提供する情報の充実を図る。
A組合予算編成および業務合理化に関し、行政機関および健保連本部と連携を密にして円滑に推進する。
B組合予算編成事務説明会を開催する。
C永年勤続者表彰伝達式を挙行する。
D会員組合に対する交付金交付事業を支援する。
E会員組合に有効な健保事務相談、法律相談、レセプト相談等支援事業を実施する。
 
2.広報活動の推進
 医療保険制度改革の早期実現に向けて広報活動の充実を図るため、次の事項を実施する。
(1)機関誌「かけはし」の発行
@親しみやすく読みやすいものとし、併せて広く対外的な広報誌としての役割を高める。
A次の項目を重点的に掲載する。
・医療保険制度の改革。
・健康保険組合の財政と事業運営。
・大阪連合会の主要な活動および事業。
・大阪中央病院を支援するための広報。
(2)広報活動の強化
@健保組合の広報事業を促進するため広報研究会を開催する。
A健保連本部地域懇談会へ参加する。
B大阪連合会ホームページを充実強化する。
(3)関係団体等に対する対外広報宣伝の強化
@経営者団体および労働団体との情報交換を強化する。
A地元選出国会議員との情報交換を強化する。
Bその他、必要に応じ関係者との情報交換を強化する。
 
3.会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善・合理化の推進
 会員組合役職員の資質向上と、組合業務の改善と合理化に資するため、研修・講習会等次の事業を実施する。
(1)会員組合役職員の資質向上に関する事業
@事務長研修会を開催する。
A組合業務別実務講習会(適用・給付・徴収・庶務会計関係)を開催する。
B健保事務相談コーナーを開設する。
(2)組合業務の改善・合理化の推進に関する事業
    @パソコン研修会(3日コース)を充実する。
 
4.医療費等適正化対策の推進
  医療費等の適正化対策を推進するため、次の事業を実施する。
(1)行政機関・医療関係諸団体との連携強化
@大阪社会保険事務局との打ち合わせ会を開催する。
A医師会・歯科医師会および柔道整復師会との打ち合わせ会を開催する。
B国保運営協議会委員の活動強化を図る。
(2)支払基金との連絡・調整の緊密化
@事務連絡調整会議および事務連絡協議会を開催する。
A専任審査員との打ち合わせ会を開催する。
(3)医療費等適正化に関する情報の収集と活用
@医療費の地域格差の是正を推進する。
A老人医療費の適正化を推進する。
B柔道整復師の施術にかかる療養費の適正化を推進する。
C超高額レセプトの点検結果を活用して医療費の適正化を推進する。
(4)レセプト点検に関する調査・研究の強化
@レセプト点検に関する情報を広範囲に交換し、調査・研究活動を推進する。
Aレセプト点検に関する講習会・研修会を開催する。
B地区会レセプト研究部会に、審査・減点事例集およびレセプト点検の手引きを作成・配布し、その活用を図る。
C診療報酬の改訂等に関する説明会を開催する。
(5)医療対策室の活動強化
@高額レセプト取扱要領に基づき超高額レセプトの点検を実施する。
Aレセプト・保険給付相談コーナーを開設する。
 
5.健康開発共同事業の推進と保健福祉共同事業の実施
 「健康日本21」および「健康増進法」の趣旨を踏まえ、会員組合における生活習慣病予防等の一次予防を中心とする健康管理事業の推進に寄与するため、健保連本部の健康開発共同事業の実施方針に基づき、次の事業を効率的に実施するとともに、特別保健福祉事業を継続実施する。
(1)健康教育の実施
@「健康教室」を開催する。
A「心の健康講座」を開催する。
(2)健康・体力づくり事業等の実施
@「健康づくり教室」を開催する。
A健康ウオーク事業を後援する。
B運動奨励事業の実施および調査研究を行う。
Cプール利用券の斡旋を行う。
(3)保健活動の実施
@保健共同事業の利用促進により保健師活動の普及・拡大を図る。
A保健事業を発展させ、実効ある保健師活動を実施するための調査研究を行う。
B保健師連絡協議会への加入促進を支援する。
C健保連大阪中央病院の健康管理センターと連携し、会員組合の保健事業の推進に協力する。
(4)共同利用施設の契約
    体育施設・保養施設の共同利用の契約と利用促進を図る。
(5)エイズ対策
    エイズに対する正しい知識の普及啓発に資する事業を実施する。
(6)特別保健福祉事業の継続実施
    別途、本部方針に基づき計画する。
 
6.総合組合の運営助成
 総合組合の運営に資するため、次の調査・研究に関する事業を実施する。
(1)総合組合の実態に関する調査資料の作成

(2)その他、必要と認めた事業

 
7.近畿地区各連合会との連携
 諸事業の実施に際しては、必要に応じて近畿地区各連合会と連携を図り、近畿地区での活動を積極的に推進する。
 

平成16年度収入支出予算概要(単位 千円)