 |
 |
4月から平成16年度の診療報酬改定が施行された。
診療報酬本体はプラスマイナス・ゼロ、薬価等はマイナス1.0%、医療費全体でマイナス1.0%となった。
健保連をはじめ支払側は、中医協審議に臨むに際し、当初から賃金・物価の動向を反映して前回(△2.7%)並みのマイナス改定が必要と、終始一貫強く主張してきた。そうした期待感からすれば、率直に言って不満が残ることは否めない。ただ、最終決着が政治決断に委ねられることなく、中医協を舞台に実現できたことは一定の評価ができるのではないだろうか。
最後まで議論された問題は、DPC(診断群分類別包括評価)の民間病院への拡大を主張する支払側に対して、診療側は時期尚早として対立し、その結果、中医協は中断。一時期、改定されるかが危ぶまれる状況になった。支払側は昨年3月に閣議決定された「医療制度・基本方針」に沿って、今回の改定で実施するよう強く迫ったものである。結果的には診療側が譲歩し決着。今年4月から2年間「試行」という位置づけながらDPCを着実に推進する道筋がつけられた。
診療側から、定額制は利益を上げるために手抜き医療となる心配があると言う。確かに利益優先で粗診粗療の不心得者もいるかもしれないが、難しい手術について、症例数および医師経験年数の基準を満たす病院は報酬を加算することも施設基準で決まっている。
今回の診療報酬改定が、国民が納得でき、メリハリの効いた患者本位の診療報酬体系改革の完成に向けての、第一歩となることを期待したい。
他方、診療報酬にかかわる「医師の名義貸し(借り)」が昨年から全国規模で問題になっている。
医療機関の医師数は医療法で決められているが、過疎地等で医師が不足していることが背景にあると言われている。そのような理由であるなら都市部を含め全国の大学医学部を中心に名義貸しが行われている実態からしておかしい。医師を雇用しないで名義借りをし、レセプトで減算をしないで不正に請求をしていた。医師が不足しているなら点数算定のルールに基づき請求することが決められている。逆な見方をすれば、不正請求のつじつま合わせのために医師の名義借りをしていたのではとも考えられる。
文部科学省が全国の79医科系大学を対象に実施した「名義貸しの実態調査結果」によると、14年4月1日から15年9月1日の間の「名義貸し」の医師数は、▽国立29大学・854人、▽公立3大学・108人、▽私立19大学・199人の合計51大学・1,161人となっている。
また、保険医療機関への「医師の名義貸し」問題に対する指導監査の結果、不正が確認され、16年3月現在8医療機関が取り消しを受けている。
今後は、医療監視などで医師の標欠状況を確認したうえ、社会保険事務局などで監査し、厳正に対処していただきたい。 |
|
(宏) |
 |
 |
|
 |