広報誌「かけはし」

■2004年2月 No.389
時評

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健康増進法施行後に求められる喫煙対策
 

大和  浩  氏


 「健康増進法施行後に求められる喫煙対策」と題し、産業医科大学産業生態科学研究所労働衛生工学教室助教授の大和浩氏を講師に迎え、保健師連絡協議会研修会が1月26日、大阪中央病院大会議室で開かれました。講演後は活発なグループディスカッションや質疑応答も行われました。


まず受動喫煙の防止を徹底
 受動喫煙とは、副流煙と喫煙者が吐き出す呼出煙の混合物です。副流煙には本人が吸う主流煙より高濃度の発がん性物質が含まれています。職場や家庭で長期間にわたり受動喫煙を受けた場合、吸わない人でも肺がんのリスクが高くなります。職場の受動喫煙を防止することは重要な作業環境管理です。
 平成15年5月に施行された健康増進法により「受動喫煙を防止すること」が施設の管理者の責任として明示されました。タバコ臭い職場を放置することは、明らかな法律違反です。すでに、職場の受動喫煙で健康を害した人たちが訴訟を始めました。有効な受動喫煙対策をとることは、訴訟の種を摘むことにもなります。
 最も良い対策は灰皿を屋外に移動して、職場を全て禁煙にすることです。費用もかかりません。人事院は「公務職場は全館禁煙」した指針を発表しています(平成15年7月)。
 次善の対策は、煙の漏れない喫煙室です。平成15年5月に厚生労働省は「漏れない分煙」のためのガイドラインを発表しました。喫煙室に換気扇を設置して、出入口などの開放面で0.2m/秒以上の一定の空気の流れを発生させること、喫煙室の中も良好な空気環境(粉じん濃度0.15mg/立方メートル、一酸化炭素10ppm以下)にすることを定めています。
 空気清浄機ではタバコから発生する粒子状物質の大半、ガス状物質の全てが素通りすることが分かってきました。空気清浄機をオープンスペースに設置することは有効な対策をしたことになりません。喫煙室に置いた場合には、空気を撹拌するため換気扇による排気の効率が悪くなります。また、一酸化炭素など有害なガス状物質の除去は不可能ですから排気を減らせることにもなりません。
喫煙対策は健康管理  まずは環境作りから

 喫煙できる場所を制限することは、喫煙本数も減る上に、禁煙を決意しやすい環境となるので、喫煙者の健康に良いのです。
 さらに、ニコチン代替療法により禁断症状で苦しまない禁煙サポートを健康管理として展開してください。