広報誌「かけはし」
 
■2004年1月 No.388
健保問答 第 279回
   
     
Q
 健康増進法では喫煙についてどう扱われていますか。
 
A

 国民の健診や健康づくりは、ライフステージ毎に、母子保健法、学校保健法、健康保険法、老人保健法等により、互いに関係なく個別に実施されてきました。
 一方、近年の生活習慣病の増加や急速な高齢化により、これまでのようなライフステージ毎ではなく、生涯を通じた一体的な推進が必要とされるようになりました。
 健康増進法は、このような観点から平成15年5月1日より施行され、健診、健康づくりや疾病予防の積極的推進を図るための基本的な事項が定められました。
 そのなかでは市町村のみならず健康保険組合や健康保険組合連合会そして事業者等は「健康増進事業実施者」と規定され(第6条)、健康教育や健康相談等の「健康増進事業」を積極的に推進するよう努めなければならないとされています(第4条)。
 特に第25条においては、受動喫煙(他人のたばこの煙を吸わされること)の防止について述べられており、最近の喫煙問題に対する関心の高さから注目を浴びています。喫煙の喫煙者自身への悪影響については多くの疫学的研究もありますが、受動喫煙についても肺がんや循環器疾患等とともに妊婦への悪影響も明らかになっています。
 喫煙については、これまでにも多くの報告書(「たばこ行動計画検討会報告書」厚生省・平成7年3月、「公共の場所における分煙のあり方検討会報告書」厚生省・平成8年3月)やガイドライン(「職場における喫煙対策のためのガイドライン」厚生労働省・平成15年5月)が出され、これらに沿って様々な対策が講じられてきました。今回、努力義務とはいえ初めて法律のなかで喫煙について規定されたことは意義深く、これからの喫煙対策の推進に一層弾みがつくものと思われます。