広報誌「かけはし」
 
■2003年12月 No.387
時評

患者が中心となる医療
―けんぽれん病院情報―


 健保連は、インターネットによる病院情報検索サイト「けんぽれん病院情報」を試行的にスタートした。「患者中心の医療」の実現に向けた具体的な第一歩である。
 平成14年度医療保険制度改革に向けて、平成13年4月12日に「今後の制度改革に向けての考え方」を策定した。
 このなかで、健保組合をはじめとする医療保険者は、なによりも患者と加入者の利益を最優先して機能を発揮し患者中心の医療の実現を図るため、患者が自ら選択し決定できるよう、 ITを活用した医療情報の提供など保険者機能の強化を図ることを改革の理念・目標の一つに掲げている。
 我国では、患者は医師に比べ医療に関する情報が圧倒的に不足しているので、保険者ができるだけ医療情報の提供などを行うことにより、患者が自ら医療機関を選択し、最善と思われる自己の治療方法などを選択できるように支援することで真の患者中心の医療が実現できると考えられる。
 患者にとって最大の関心は、どの医療機関に受診すれば、最適な治療が受けられるのかということである。そのために患者が本当に必要とする情報とはどのような内容の情報か。
 「けんぽれん病院情報」はそんな思いをかたちにしたもので、まだ登録病院数は全国病院の4分の1にとどまっているが、患者の立場に立った情報を盛り込んでいるのが特徴である。病院情報でわかる主なことは
●病院ごとに受けられる検査や治療、手術の内容
●インフォームド・コンセントやセカンド・オピニオンの取り組み状況
●リハビリ・在宅医療、専門外来など
●病院の特徴やアピールポイントを得意分野、専門治療を中心に要約
●小児科の夜間・休日診療など
であるが医療は患者が中心でなければならない。医療提供側へのおまかせ医療ではなく、患者が理解し、選択し、安心と納得のうえで、質の高い医療を受けるための病院情報提供サービスが踏み出したことになる。
 本格的なIT化時代に入り、医療に関する正確かつ公正な客観情報を健保組合が加入者(患者)に提供し、選択が容易になるようサポートをしていくことが大切である。
 また、医療・病院関係者の理解と協力と医療機関から、より積極的な情報の提供が行われ、これを活用する患者自身の主体的な情報選択を通じて、医療水準の向上が望まれるところである。
 「けんぽれん病院情報」が日本を代表する医療機関情報提供システムになるだろうことは間違いない。
  (宏)