健保組合の財政は、平成14年度には過去最大の赤字を記録し、今年度実施された健保法改正後も赤字体質の改善には至らず、慢性的に深刻な危機状態にある。これに対し政府は、「基本方針」において平成20年度に向け改革の実現を目指すとしているが、今の健保組合には、もはやそこまで耐えられる体力はない。抜本的な改革が早急に実施されるべきであり、直面する危機を乗り越えるための改革の前倒し、あるいは特別の緊急対策が是非とも必要である。
また、平成16年度に予定されている診療報酬改定は、社会経済情勢が十分に反映され、これまでの診療報酬改革の方向に沿ったものとなるべきである。
改革にあたっては、相互扶助と自立を基礎とする「社会保険方式」を堅持すべきである。また、患者中心の医療を実現しなければならない。このためには、患者自らが選択し決定していく環境を創ることが必要不可欠である。
ここに、次の事項の実現に向け、本日参集した我々の総意として決議する。
1.
医療制度改革の前倒し実施 |
○ |
現在の財政状態では、改革の実施までに保険料引き上げ等の負担増が必至であり、患者負担や保険料負担のみを継続することがもはや限界に達している。 |
○ |
単なる負担増でない改革の前倒し、あるいは特別の緊急対策を年金改革と一体として検討し実施すべきである。 |
2. 拠出金負担の廃止と公平な制度の創設 |
○ |
医療制度改革の基本方針に盛られている拠出金の廃止は確実に実施すべきであり、医療保険制度の構造改革も可能な限り速やかに実施されるべきである。 |
○ |
高齢者医療費の負担は、老人保健制度等の持つ問題点を解決し、世代間の公平の確保と負担者が納得する仕組みとするべきである。 |
3. 国民が納得できる診療報酬改定の実施 |
○ |
社会経済情勢を反映するとともに、医療制度改革の基本方針に示された改革の方向で診療報酬改定を実施すべきである。 |
4. 「社会保険方式」の堅持と「患者中心の医療」の実現 |
○ |
改革にあたっては、相互扶助と自立を基礎とする「社会保険方式」を堅持すべきであり、これにより「患者中心の医療」の実現を進めることができる。 |
○ |
健保連は「けんぽれん病院情報」の提供を始めたが、さらに医療機関からの積極的な情報の提供が行われ、患者の選択により医療水準の向上が図られるべきである。 |
平成15年11月21日 医療制度改革の早期実現を求める総決起大会
(平成15年度健康保険組合全国大会) |