広報誌「かけはし」
 
■2003年9月 No.384
時評

保健事業のより効果的な運営にむけて!
―「ウオーキング運動」への取り組みを通じて―


   「健康日本21」が目指すものは「すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会」の実現です。
 さらに「健康増進法」において、健康保険組合は、「健康増進事業実施者」としての位置付けが明確化され、国民自らが健康増進に努めるにあたり、その努力を保健事業等を通じ支援するものとされたことは周知のとおりです。
 一方、健康保険組合の財政は危機的な状況にあり、保険者機能の強化、特に効果的な保健事業の実施が求められています。
 そこで、保健事業費が保険料収入の2%という制約下(それでもまだ保健事業費を計上できるだけ有り難いのかもしれませんが)生活習慣病予防の観点から「ウオーキング運動」に取り組んでいる一健保の事例を紹介します。
 当該健保では、以下の点に着目した展開を実施しています。
     
  @ 日常生活の中で歩いていることを意識させる
   生活の中で歩いていることそのものを「ウオーキング」としてとらえ、その重要性を伝えていく。
   生活の中で、できれば歩く量や速度を増やすことで効果を高める。
     
  A 科学的データに基づいた情報提供を行っていく
   自社定期健康診断結果に基づく「加齢とともに増加する生活習慣病」データを提示した上で、1日あたり歩数が多い人ほど生活習慣病に関して良好な数値が得られているデータを情報提供。
   日頃歩いている量が増えるとストレスが解消されるメカニズムを情報提供。
   ウオーキングが3大疾病の予防に役立つデータを情報提供。
     
  B 事業主・労働組合との連携を行う
   事業主が実施する健康診断との連携。
   労働組合機関誌においても「ウオーキング運動」の広報を実施。
  C 低コストでの取り組み実施
   従来から発行している機関誌での告知啓発活動を中心とした取り組みを行うことで、保健事業費の支出増を伴わずに実施。
 なお、体系だった情報提供を目的に年初に年間分のウオーキング記事に関する掲載内容を決定する一方、その他保健事業(家庭常備薬斡旋・保養施設紹介・健康相談)もウオーキングを意識した運営を実施。
     
  D 効果分析は、費用対効果を視野に入れて、「ウオーキング運動」終了後実施する
     
   10月は「あなたがつくる自分の健康」のスローガンで、広く全国民が自らの健康について関心を高め、健康で明るい職場と家庭を作り上げることを目的に全国各地で健康づくりに関する様々な事業を展開する「健康強調月間」です。
 健保連・都道府県連合会が実施する事業を有効活用されるとともに、各健康保険組合保健事業のより効果的運営の一助となればと思います。
「楽しく一歩 健康前進」−ウオーキング−
  (Y・K)