広報誌「かけはし」
 
■2003年9月 No.384

   健保連大阪連合会は、8月7日から28日にかけて、大阪府選出 衆・参両院議員8人の地元事務所を訪れ、医療制度改革の早期実現を求める陳情を実施した。
 このなかで、陳情に参加した健保組合代表は、健保組合財政は過去最悪の4、000億円を超える赤字となった原因を説明。特に大阪の健保組合の苦しい財政状況とこのままでは組合の存在そのものが危惧されることを訴えた。
 こうした状況下、制度改革を基本方針どおり、20年度といわず前倒しでの改革実現と組合財政危機に対し、当面の緊急措置の実現を強く要請した。これに対して各議員とも、制度改革の必要性は、十分に認識している。また、制度改革実現のため努力していきたい。と述べた。

 


要 望 書
 

   平成14年度健康保険組合の決算見込みは、全組合の8割以上が赤字決算であり過去最悪の事態となった。その要因は保険料収入の大幅な減少と、拠出金の増大であることは、極めて明白である。
 昨年7月の健保法改正は、部分的には財政効果が見られたものの、経済の回復が不透明であり、ボーナス保険料導入による保険料額の実質負担増も被保険者数減、標準報酬の低下で相殺され、事業主、被保険者の痛みを強めるのみで、平成15年度も組合財政の危機が回避されたとは言い難い。
 さらに、平成16年度の政府予算は、税収不足から社会保障費の自然増を圧迫する方針が伝えられており、健保組合に対する予算措置の削減が懸念され、一方では退職者医療拠出金は間違いなく大幅に増加するなど、16年度の組合財政は厳しさが増幅するばかりである。
 医療制度改革基本方針の具体化は、社会保障審議会に於いてようやく審議が開始されたが、基本方針の問題点が一刻も早く解決され、健保連の主張が十分反映される中で、改革が早期に実現されるよう大阪連合会として次のとおり強く要請するものである。
 


  一、 医療制度改革を早期に実現すべきである。
 平成14年度健保組合決算見込みでは、保険料収入の大幅な減少が赤字の大きな要因であると判明した。
 全組合平均の保険料収入を主とする経常収入が、対前年度比で1・87%減となっているが、大阪連合会傘下組合の平均は3・86%減で全国平均の2倍を超える落ち込みであり、極めて厳しい経済環境に置かれている。
 一方、拠出金が保険料収入に占める割合も全国平均43・87%を上回る44・90%であり、支出面でも苦境にあることが明らかである。このように保険者努力の及ばない要因が地域によってより過酷に投影していることに認識を深めなければならない。
 さらに平成14年度には解散組合等が10組合(4・5%)を数えるなど、組合制度維持存続の危機に瀕しており、改革を悠長に待てるものではない。
 地域事情を色濃く反映しているとは言え、この実態は大阪のみに言えるものではなく、これを打開するために、少子高齢社会に適合した長期的安定性のある制度への改革を一日も早く実現すべきである。
 
  一、 組合財政危機に対し、当面の緊急措置を講ずべきである。
 政治の動向、基本方針の審議状況などから、制度改革の実現が一両年では難しいと考えざるを得ない。
 しかしながら、健保組合の大半は一刻も猶予できない財政危機にあり、一方ではボーナス保険料導入に伴う保険料負担の実質増が図られており、これ以上の料率引上げは困難である。
 経常支出の増加は退職者医療拠出金の増大が大きな要因でもあり、法改正までの緊急対策として、財政窮迫組合などへの必要な予算措置を講ずべきである。
 
  一、 基本方針の前期高齢者対策は見直すべきである。
 基本方針では、別建ての高齢者医療制度創設は、後期高齢者のみを対象とし、前期高齢者を切り離している。前期高齢者については医療費負担不均衡の是正を名目に制度間の財政調整を行うとしている。
 制度間の財政調整の仕組みは明らかにされていないが、拠出金制度の衣替えであると言わねばならない。しかも、対象が74歳までとなることから現行の退職者医療の範囲が拡大されるのと同意義で、被用者保険の負担増は目に見えている。
 最大の問題点は、何故、後期高齢者と制度上区分するのか、また前期高齢者の医療費には国庫負担が考慮されていない点である。増加の一途が予測される前期高齢者の医療費は、最終的には被用者保険の負担増となるのである。このことは、15年度の退職者医療拠出金の増加率をみても明らかである。
 基本方針の具体化は、社会保障審議会で今後審議を深められるであろうが、前期、後期を問わず高齢者の医療費には一定の国庫負担を導入すべきであり、そのうえで必要な支援は、負担する若年者にとって公平な保険料方式とすべきである。
 
  平成  年 月 日
        議員
           先生
 

健康保険組合連合会大阪連合会
会長 加藤 幹雄

 

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中野 寛成氏

福島  豊氏

竹本 直一氏

山本 孝史氏

中馬 弘毅氏

塩川 正十郎氏

岡下 信子氏

平野 博文氏


【国 会 議 員 と 陳 情 者】

国会議員

月 日

陳情者

中野 寛成氏
 民主党
   衆議院
8月7日
  (木)
兼松連合 山本常務理事
大阪婦人子供既製服 河田常務理事
丸紅連合 中谷事務長
大阪連合会 置田専務理事
大阪連合会 徳永参与
福島  豊氏
 公明党
   衆議院
8月8日
  (金)
松下電器 越後顧問
三洋電機連合 林専務理事
大阪府電設工業 喜多常務理事
大阪連合会 置田専務理事
大阪連合会 徳永参与
竹本 直一氏
 自民党
   衆議院
8月9日
  (土)
近畿電子産業 島田専務理事
大阪金属問屋 塚口常務理事
大阪連合会 置田専務理事
山本 孝史氏
 民主党
   参議院
8月11日
  (月)
近畿電子産業 島田専務理事
近畿日本鉄道 福谷常務理事
大阪文紙事務機器 浅井常務理事
大阪連合会 置田専務理事
中馬 弘毅氏
 自民党
   衆議院
8月20日
  (水)
日商岩井 川口常務理事
日本生命 三隅常務理事
カネボウ 三好常務理事
大阪連合会 置田専務理事
塩川正十郎氏
 自民党
   衆議院
8月22日
  (金)
三洋電機連合 林専務理事
大阪トヨタ 上野常務理事
兼松連合 山本常務理事
大阪連合会 置田専務理事
大阪連合会 徳永参与
岡下 信子氏
 自民党
   衆議院
8月25日
  (月)
大阪トヨタ 上野常務理事
東洋紡績 楠田常務理事
ナショナル連合 小山常務理事
大阪連合会 吉田事務局長
平野 博文氏
 民主党
   衆議院
8月28日
  (木)
松下電器 越後顧問
大阪府電設工業 喜多常務理事
大阪連合会 置田専務理事
大阪連合会 徳永参与