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柳 光司 医長 |
胸痛は、さまざまな病気が原因で起こりますが、心臓病が原因となるものの筆頭が狭心症、重篤なものとして心筋梗塞があげられます。他には心膜炎、僧帽弁逸脱、大動脈弁膜症などがあります。他には解離性大動脈瘤のように動脈が原因のもの、肺塞栓のように肺動脈から起こるもの、他の臓器に起因するものなど、胸痛の原因は多様です。肺塞栓はエコノミークラス症候群としてメディアなどでも取り上げられ、よく知られるようになりました。長時間同じ姿勢をとり続けることで足の血管にできた血栓が、肺動脈に詰まって発生します。予防には長時間同一姿勢をとり続けない、脱水を予防するといったことがあげられます。
狭心症や心筋梗塞は、虚血性心疾患と呼び、冠状動脈の狭窄や塞栓によって発生します。狭心症では胸骨下の絞扼感や圧痛、左上肢の痛みなどを感じます。痛みは運動や急激な寒さ、興奮、食後などに誘発されます。日本人に遺伝的に多い冠れん縮性狭心症(異型狭心症)は朝2時から7時ぐらいの早朝安静時に頻発します。心筋梗塞は冠動脈の急激な塞栓によって発生し、激烈な疼痛が数時間以上継続します。その大部分は成長過程の動脈硬化層が破綻し、そこに血栓ができて起こることが、近年の研究でわかっています。
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