広報誌「かけはし」
   
■2003年6月 No.381
 

 6月2日、大阪厚生年金会館で健保連・近畿地協共催の講演会が開催されました。岡澤元大健保連副会長が医療制度改革基本方針などに触れ、あいさつ。丹羽雄哉衆議院議員(自由民主党・医療基本問題調査会会長)による講演「医療制度改革の基本方針と展望」の後、下村健健保連副会長から健保連の取り組みについて状況報告がありました。


 岡澤副会長からもお話があったように、我が国の社会保障制度はバブル崩壊後、皆年金制度や皆保険制度にかげりが見え始め、大きな曲がり角に来ています。
 私は国民の同意を得るためには、3割負担を実施する前に、まずは医療制度改革だということを強く主張してきましたが、今年4月から、サラリーマンの医療費の自己負担が3割に引き上げられました。
 政管健保については、全国1本ではなく都道府県単位でそれぞれの医療費に応じた財政運営を図るという私の考えていた方向で決められました。さらに、高齢者の医療制度については、保険者の自主性・自立性を尊重し、自立と社会連帯を基本とする立場から、75歳以上について、独立型の新制度を設けるよう提案しました。その結果、65歳から74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者とする制度が打ち出され、75歳以上を対象に、独立型保険の新設が打ち出されました。
  3・2・1割の自己負担
 自己負担割合は、この4月から70歳未満が3割、70歳以上が1割となりました。しかし、この状態では前期高齢者が3割負担の人と1割負担の人に分断されます。そこで、前期高齢者については自己負担を2割、後期高齢者については1割にすることを主張しています。これが実現すると、各世代の自己負担が3割、2割、1割となり、国民のみなさまにもわかりやすく、ご理解いただけると考えています。
 また、各健保組合の間には、加入者数や保険料率などさまざま格差が生じており問題となっています。これを解消する上で避けて通れないのがいわゆる統合・再編問題です。今回の医療制度改革の基本方針では、地域型の健保組合設立の方向を打ち出しています。これは総合型の健保組合を否定するものではなく、小規模あるいは財政的に運営が困難な健保組合の受け皿として都道府県単位で健保組合としての仲間意識を大切にするという点から、このような表現をしています。
 我が国の社会保障はこれまで医療、介護、年金がバラバラに議論されていました。しかし、これらの整合性が一番大切です。将来の方向としては65歳から年金の給付サービスを受け、保険料は世帯単位から、個人単位に代わります。そして、年金を軸に、医療、介護が三位一体で展開されなければいけません。それが安心な老後につながるのではないでしょうか。

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