広報誌「かけはし」
 
■2003年4月 No.379

 健保連大阪連合会は3月31日、大阪厚生年金会館で総会を開き、平成15年度の事業計画と収入支出予算を決定した。
 
 健保組合の解散や合併が相次ぐなか、健保財政は待ったなしの状態に追い込まれており、特に拠出金制度を廃止して新しい高齢者医療制度を健保連の主張する趣旨に沿って創設することは、健保組合にとって緊急の課題である。
 平成15年度も拠出金の負担に耐えられず、すでに解散が予測されている組合もあるという厳しい環境のなかで、財政的に安定した組合運営ができるよう、また健保連の組織を維持発展させていくためにも健保財政の一刻も早い建て直しが必要である。
 また、理事会・委員会・地区会等を通じて常に制度改革を中心とした論議を重ねてきており、本部にその意向を伝えていくなかで、本年度こそ実りある年とするため、引き続き全力を傾注して制度改革の実現のために取り組んでいきたい。

総会の経過
   岡澤会長が議長となり、総会の議事録署名人に、蝶理健保組合、大阪自転車健保組合を指名、議案の審議に入った。
   
 議案第1号
  平成15年度事業計画(案)
 議案第2号
  平成15年度収入支出予算(案)
 議案第3号
  平成15年度支出予算の款内各項間の流用を理事会に委任すること 
  以上の3議案を一括上程し、いずれも原案どおり可決された。
 議案第4号
  平成14年度特別保健福祉事業推進助成事業会計収入支出予算(平成15年3月18日理事会専決)
 本部総会において全国一括決議をうけている旨報告、承認された。
 議案第5号(追加議案)
  学識経験理事選出の同意
 岡澤会長の退任申し出により理事会において加藤幹雄氏を選出したことを報告し同意を得た。併せて会長就任についても確認された。
 
   総会後、健保連本部の下村副会長から閣議決定された「医療制度改革の基本方針」等について健保連本部の見解が中央情勢報告としてあった。
   
○当日の出席状況
  出 席 187組合  
  委任状 34組合  
○来 賓
  近畿厚生局 社会保険管理官 片町 健夫氏
    社会保険課長 山田 義則氏
  大阪社会保険事務局 保険管理課長 五島 隆道氏
  健保連本部 副会長 下村  健氏
  大阪連合会 特別顧問 松本 良諄氏
    顧問 内田 一男氏
    顧問 早司 欣弘氏
 
 岡澤会長あいさつ(要旨)
 健康保険を取り巻く現下の状況についてですが、政府の「医療制度改革の基本方針」が先週末(3月28日)閣議決定されました。
 改革の焦点である高齢者医療制度については、新たに「75歳以上の高齢者を対象とする独立保険の創設」が打ち出されていますが、その一方で、「65歳から74歳未満の医療費については、健康保険組合等から国民健康保険への資金支援を行う」といった、現行制度を色濃く残した内容となっています。
 現時点では、新しい保険料水準等の詳細は明らかではありませんが、昨年12月に厚生労働省が示した「高齢者独立保険創設案」に「財政調整案」を「接ぎ木」した、誠に中途半端なものと言わざるを得ません。
 特に、かねてより健保連が見直しを強く主張してきた拠出金制度については、表面的には廃止となっているものの、新制度に対する「資金支援」といった形での負担存続が、強く懸念されるところです。
 一方、健康保険組合の財政については、平成13年度決算で、経常収支は3、032億円と過去最高の赤字、赤字組合数も1、337組合、全組合の77・6%に上っていますが、平成14年度決算も一層悪化する見込みです。
 これは、いうまでもなく保険料収入の40%以上にも達する拠出金によるところが大きく、歯止めのかからぬ拠出金負担が組合の財政を窮地に追い込んでいる惨状は目を覆うばかりです。
 大阪連合会においても、赤字組合数が177組合と、全体の80%を超え、全国よりもさらに深刻な状況となっています。各組合とも、総報酬制の導入に伴う保険料率の見直しや、積立金の取り崩し等、懸命に存続への道筋を模索しているところですが、現行制度の元では、もはや安定した運営は望むべくもありません。
 医療制度改革については、今後平成17年度の法案国会提出、平成20年度の実施に向けて具体的な制度設計についての論議が始まります。
 健保連としては、単なる財政対策ではなく、保険者機能を十分に発揮しつつ、将来にわたり安定的な運営が可能な、真の制度改革の実現に向け、論陣を張っていく所存です。
 大阪連合会としても、地元選出の国会議員への陳情を重ねるなど、本部と協調して機動的な対応を図っているところですが、引き続き皆さまのご支援ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
 さて、話は変わりますが、健保連直営の大阪中央病院は、本年6月に新病院開院後丸3年となります。内視鏡手術の専門医として全国的にも有名な大橋院長を筆頭に、有能なスタッフをそろえ、医療サービスの充実に努力を重ねておられます。大変快適な病院ですので、この場をお借りし、組合員の皆さまやご家族の積極的なご利用をお願い申し上げたいと思います。

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事 業 計 画
 
1.医療保険制度の改革に関する対応および組織活動の推進等
(1)医療保険制度改革の推進に関する対策活動
   健保連本部との連携を一層密にして、医療保険制度の更なる改革に向けて粘り強く取り組む。
  @医療保険制度改革実現のため、健保連本部と呼応しながら前年度に引き続き、理事会および医療保険制度等検討委員会を中心に、積極的に推進する。
 拠出金制度を廃止して新たな高齢者医療制度を創設することは、すべての健保組合の最重要課題であり一刻も早く実現するよう他に優先して取り組む。
A制度改革の実現は、政治主導によるところが大きく、国会議員への陳情活動を強化するとともに、行政機関との連携を密にする。
B制度改革について経営者団体および労働団体と政策調整会議を開催し連携を強化するほか、医師会等医療関係団体との協議や広報活動を通じて健保連の考え方の浸透を図る。
C退職者医療制度に関して、国保運営協議会・被用者保険等保険者連絡協議会の活動を推進する。
D近畿地区協議会の活動を強化し、事業の充実に寄与する。
Eその他、事態に即応した諸対策を実施する。
(2)組織活動の継続強化
   大阪連合会の意思決定および情報連絡等が円滑に推進できるように、理事会並びに委員会活動を強化するとともに、緊密な連携のもと地区会活動の促進を図る。
  @理事会および総会を開催する。
A必要に応じて、正副会長会議・地区会長会議・各種委員会会議等を開催して対策を協議する。
B地区会の機能を中心とした諸活動の促進を図る。
C新年互礼会(第38回)を開催する。
D組合員および家族の保健・福祉活動の更なる発展を図るため、組合員を横断的に構成する地域を拠点とした活動について検討する。
(3)組合業務に対する支援
   会員組合の実態把握および業務合理化に関する事業等、会員組合業務に対する支援事業を実施する。
@会員組合に提供する統計情報の充実を図る。
A組合予算編成および業務合理化に関し、行政および健保連本部と協議するとともにその円滑な推進を図る。
B組合予算編成事務説明会を開催する。
C永年勤続者表彰伝達式を挙行する。(決算総会開催時)
D会員組合に対する交付金交付事業を支援する。
Eその他、会員組合業務に有効な法律相談等支援事業を実施する。
 
2.広報活動の推進
 医療保険制度の更なる改革の推進と高齢者医療制度の創設に向けて広報活動の充実を図るため、次の事項を実施する。
(1)機関誌「かけはし」の発行
@親しみやすく読みやすいものとし、併せて広く対外的な広報誌としての役割を高める。
A次の項目を重点的に掲載する。
・医療保険制度の改革。
・健康保険組合の財政と事業運営。
・大阪連合会の主要な活動および事業。
・大阪中央病院を支援するための広報。
(2)広報活動の強化
@広報研究会を開催する。
A近畿地区協議会懇談会へ参加する。
B大阪連合会ホームページを充実強化する。
(3)関係団体等に対する対外広報宣伝の強化
@経営者団体および労働団体との情報交換を強化する。
A地元選出国会議員との情報交換を密にする。
Bその他、必要に応じ関係者との情報交換を充実する。
 
3.会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善・合理化の推進
 会員組合役職員の資質向上と、組合業務の改善と合理化に資するため、研修・講習会等次の事業を実施する。
(1)会員組合役職員の資質向上に関する事業
@事務研修会(1泊コース)を開催する。
A事務長研修会を開催する。
B組合業務別実務講習会(適用・給付・庶務会計関係)を開催する。
(2)組合業務の改善・合理化の推進に関する事業
  @ パソコン研修会(3日コース)を充実する。
 
4.医療費等適正化対策の推進
  医療費等の適正化対策を推進するため、次の事業を実施する。
(1)行行政機関・医療関係諸団体との連携強化
@大阪社会保険事務局との打ち合わせ会を開催する。
A医師会・歯科医師会および柔道整復師会との打ち合わせ会を開催する。
(2)支払基金との連絡・調整の緊密化
@事務連絡調整会議および事務連絡協議会を開催する。
A専任審査員との打ち合わせ会を開催する。
(3)医療費等適正化に関する情報の収集と活用
@医療費の地域格差の是正を推進する。
A老人医療費の適正化を推進する。
B柔道整復師の施術にかかる療養費の適正化を推進する。
C超高額レセプトの点検結果を活用して医療費の適正化を推進する。
(4)レセプト点検に関する調査・研究の強化
@レセプト点検に関する情報を広範囲に交換し、調査・研究活動を推進する。
Aレセプト点検に関する講習会・研修会を開催する。
B地区会レセプト研究部会に、審査・減点事例集およびレセプト点検の手引きを作成・配布し、その活用を図る。
C診療報酬の改訂等に関する説明会を開催する。
(5)医療対策室の活動強化
@高額レセプト取扱要領に基づき超高額レセプトの点検を実施する。
Aレセプト・保険給付相談コーナーを開設する。
 
5.健康開発共同事業の推進と保健福祉共同事業の実施
 健康日本21および健康増進法の施行趣旨を踏まえ、会員組合における生活習慣病予防等の一次予防を中心とする健康管理事業の推進に寄与するため、健保連本部の健康開発共同事業の実施方針に基づき、次の事業を効率的に実施するとともに、特別保健福祉事業を継続実施する。
(1)健康教育の実施
@「健康教室」を開催する。
A「心の健康講座」を開催する。
(2)健康・体力づくり事業等の実施
@「健康づくり教室」を開催する。
A健康ウオーク事業を後援する。
B運動奨励事業の実施および調査研究を行う。
Cプール利用券の斡旋を行う。
(3)保健活動の実施
@保健共同事業の利用促進により保健師活動の普及・拡大を図る。
A保健事業を発展させ、実効ある保健師活動を実施するための調査研究を行う。
B保健師連絡協議会への加入促進を支援する。
C健保連大阪中央病院の健康管理センターと連携し、会員組合の保健事業の推進に協力する。
(4)共同利用施設の契約
    体育施設・保養施設の共同利用の契約と利用促進を図る。
(5)エイズ対策
    エイズに対する正しい知識の普及啓発に資する事業を実施する。
(6)特別保健福祉事業の継続実施
    別途、本部方針に基づき計画する。
 
6.総合組合の運営助成
 総合組合の運営に資するため、次の調査・研究に関する事業を実施する。
(1)総合組合の実態に関する調査資料の作成

(2)その他、必要と認めた事業

 
7.近畿地区協議会との連携
 諸事業の実施に際しては、必要に応じて近畿地区協議会と連携を図り、地協活動の積極的な推進に寄与する。
 

平成1年度収入支出予算概要(単位 千円)

 

 

※( )内は%  

        目 15 年度予算 14 年度予算      




会費 111,002 113,812 △ 2,810
受入金 12,401 19,561 △ 7,160
繰越金 24,520 19,704  4,816
繰入金 500 500  0
交付金 25,480 31,191 △ 5,711
雑収入 550 650 △ 100
収入合計 174,453 185,418 △ 10,965



事務所費 83,820 87,600 △ 3,780
会議費 7,850 5,950  1,900
事業費 75,050 86,290 △ 11,240
積立金 1,500 500  1,000
雑支出 2,950 3,150 △ 200
予備費 3,283 1,928  1,355
支出合計 174,453 185,418 △ 10,965