■2003年4月 No.379
■ 健保組合主導で国民皆保険制度存続の危機を脱しよう! ■
今月から、被用者保険本人の医療費窓口負担が、2割から3割に増えた。思えば、窓口負担が1割から2割になって、日本中の話題になっていたのは、わずか5年前のことである。それほど急激に健保財政は悪化している。小泉首相は、「3割負担は抜本改革の一部だ。3割負担をお願いすることで、今後、あるべき改革に向けさらなる努力をしたい」と述べていたが、果たして国民はこれで納得しているのだろうか。多くの国民にとって、良いことは待てども来ず、嫌なことだけがやってくる、といった感じであろう。
さて、このところ、健保組合は存続の危機を回避するため、保険料の引き上げや事業の見直しで対応してきた。それも、限界に達し健保連にとっても止むに止まれぬ3割負担という苦渋の選択であった。
しかし、実施直前になり、3割負担の導入を凍結する主張が、国民の顔色をうかがった立場の政党や団体から出る始末で、これでは社会保険制度の将来を考えない無責任な対応に他ならない。
小泉首相が前々から用いている「三方一両損」も、最初は将来のためには止むを得ない言葉に聞こえたが、現在の拠出金制度にみられるように、健保組合にいつまで過大な負担をさせるのか、との思いを深くし、「あるべき改革に向けてさらなる努力」は無理ではないのかとさえ、思えてくる。
しかし、ここで私たちがひるんでいる場合ではない。今後のためにしなければいけない難問は山積みであり、早急に制度改革をしなければ、健保組合にとどまらず、国民皆保険制度存続の危機にもなりかねないのである。
日本が世界に誇る、国民皆保険制度は、長い歴史の中で構築されてきたものであり、国民が安心して暮らせる大きな要因の一つである。この国民皆保険制度を維持するためには、診療側・保険者側・患者側が自我を捨て、一つのテーブルについて意見交換をする場を持つことが必要であると思うが、互いに敵対心ばかりが強くなりそうな状況である。
基本方針が打ち出され、これから具体的な方向性が検討されている今、国民皆保険制度の堅持も、健保組合が引っ張っていく勢いで、挑みたい。
最後に、神頼みではないが、新社会人が吹き込む爽やかな風のように、抜本改革にも新しい風が吹き込み、私たちの思いを折り込んだ制度改革を実現してほしいものである。
(舞)