広報誌「かけはし」
 
2003年2月 No.377
生活習慣病改善のための運動

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 「生活習慣病改善のための運動」をテーマに、健康運動指導士の梅田陽子氏による健康づくり教室が、1月17日、薬業年金会館で開催されました。
梅田陽子氏
●生活習慣病改善に有酸素運動を
   私は京大病院第二内科で、糖尿病や肥満の患者さんのための運動療法を指導しています。現在、筋力トレーニングを取り入れた有酸素運動が中心となっています。
 体にいい運動は人によって様々です。病気で寝ている人にはまず座ることが運動です。あるいは糖尿病の人の場合、運動の負荷が強すぎると、血糖値が下がらないこともあります。現在、世界の人口の60〜85%が運動不足だといわれており、自分で自分の体を律していかないと、文明が肉体にマイナスに働いてしまいます。しかし、糖尿病の人でも、運動療法の効果のひとつとして、動脈硬化が抑制されることがわかっています。大事なのはどれぐらい長くゆったりと運動できるかです。有酸素運動は長時間できて、運動中の脂肪の利用率が高いのでエネルギーを消費でき、生活習慣病改善に有効です。
 ただ、高齢になると筋力の低下などによって膝関節症の痛みなどで、十分運動できない場合があります。その人たちでも無理なく運動できる、いすに座ったままで行う有酸素運動を指導しています。これは血圧の急上昇を抑え、心拍数も100拍程度にとどめた運動なので、酸素を有効に使うことができます。
 
●運動不足を解消し心も体も健康に
   私たちは毎日様々なストレスを抱えて生活しています。ストレスに上手に対応すれば、体は元に戻ろうとする力を発揮します。しかし、ストレスが長期的に続くと、生活習慣病の引き金になります。心理的なストレスによって、からだの生理機能が変化するためだと考えられています。
 また、日本の男性は最近肥満傾向が上昇しつつあります。肥満と運動と死亡率の関係を見ると、太っていてなおかつ運動をしていなかった人の死亡率が一番高く、太っていても運動をしていた人は、やせていて運動をしていなかった人より死亡率が低いという結果が出ています。長く健康に生きるためには運動が一番ということがいえます。特に重要なのは自分に合った運動量を知ることです。
 ところが、実際には運動不足が気になる人が6割程度もいるという統計が出ています。運動をしない理由としてよくいわれるのが「時間がない」「疲れている」ということです。しかし、緊張や不安、怒り、抑鬱、疲労感、といったものがいずれも1回の運動後すべて下がり、意欲や活気が上昇したという調査結果が出ており、日ごろから軽い運動をしている人はうつに発展する可能性が低いともいわれています。心の健康にも運動は効果的です。ストレスの餌食になってしまうか、運動をして心の安らぎを求めるか、あなたはどちらを選びますか?

有酸素運動の実技も