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山上英利部長 |
画像診断装置のうち、CTの最新の話題は多検出器列型の螺旋走査CT(MDCT)です。螺旋CTとは、X線管球を同一方向に連続回転させながら、検査テーブルを体軸方向に一定の速度で移動することで、被験者を螺旋状にスキャンし、その投影データを収集することが可能なCTです。これによって容積情報を取得でき、任意の断面像や種々の三次元像もなめらかに表示できます。
多検出器列型では、さらに高速で広範囲、高空間分解能の容積情報が取得できるため、従来に比べ同じ範囲をより短時間でスキャンすることができるようになりました。これは検査時間の短縮や血流動態など高速で進行する事象の解析などにも寄与します。たとえば、18年前なら15時間はかかっていた下腿部のCTアンギオグラフィーもわずか30秒で明瞭に取得することができます。
MDCTを使えば画像を再構成して展開図のように見たり、動画としてみることもできます。最近はCTによる大腸の描出が、注腸検査や大腸内視鏡検査に迫りつつあります。MDCTのボリュームデータから3D像を作成し、視点を大腸の中に移して内視鏡でのぞいたような疑似内視鏡像も作成することができます。
また、ファイバースコープでは通過できないような狭窄部や、狭窄部の裏側の病変なども観察でき、内視鏡ではできないことも可能になりました。
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