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■2002年11月 No.374 |
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「うつの早期発見」をテーマに、大阪府こころの健康総合センター診療課長の漆葉成彦氏による心の健康講座が10月31日、薬業年金会館で開催されました。 |
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●相談しにくいうつ 早期発見が重要 |
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かつて、うつ病は内因性の精神疾患としてとらえられていましたが、最近は社会の見方もかなり変化してきました。うつになる人は非常に多く、20人に1人はうつだといわれます。しかし、受診する人は3分の1程度と少ないのが現状です。それは人に相談しにくかったり、認めるのに抵抗があるからだと思われます。うつの早期発見はそれほど困難ではありませんが、難しいのは早期発見できる環境や雰囲気を整えることです。新潟県松之山町では1985年当時、高齢者の自殺率が全国平均の9倍でしたが、SDS(Self-Rating Depression Scale)を活用し、早期発見することによってこれを12年間で4分の1まで減らしました。
しかし、うつはなかなか人に相談しにくく、いいにくいものです。周囲が気づいてあげることが重要です。
うつ状態の症状として多いのが「何をやっても楽しくない、やる気が起こらない、集中力がない、体の調子が悪い、寝られない」という訴えです。ほかに日常行動では口数が減ったり、いらいら、自分の中に閉じこもる、気弱になるといった症状が見られます。仕事面では集中力の低下や能率の低下、ミスの増加などによって仕事が遅くなります。身体面では睡眠障害、食欲低下、酒量の変化、不定愁訴などがあります。
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●パンフレットを活用 自殺のサインに注意 |
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うつを早期発見するために有効なのが、「こういうことがあったら相談しましょう」というパンフレットを作っておいておくことです。項目としては@毎日の生活にハリが感じられない、Aこれまで楽しんでやれていたことが楽しめない、Bわけもなく疲れたように感じる、Cこれまで楽にやれていたこともおっくうに感じる、D自分が役に立つ人間だと考えることができないの5つです。このうち2つに当てはまれば相談を、というものですが、答えやすい質問ではないかと思います。そのほか、いくつかの質問紙法によってスクリーニングすることも可能です。しかし、大事なのは早期発見や相談ができる環境であることです。
また、周囲がうつに気づいたときの受診のすすめ方も大切なポイントです。本人は否定したり、症状を過小評価したり、攻撃的になって受診を拒否する可能性があります。アプローチの方法としては身体症状にかこつけたり、家族や信頼している人に説得してもらう、家族と一緒に受診するといったことがあげられます。診療の継続のためには次回の面接の予約を取るということも大事です。
自殺のサインも要注意です。死をほのめかすほかにも、自責的な訴えや、必要以上に身体症状にこだわったり、状況に合わない感謝など様々なサインがあります。また、食事をとらない、大切なものを整理する、自殺場所の下見に行くなどの行動も危険なので、精神科に紹介していただきたいと思います。 |
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