広報誌「かけはし」

■2002年9月 No.372
時評

「クリーンヒット」 となる制度改革を

 
 高校球児の祭典、夏の全国高校野球大会も、高知県の明徳義塾高校の優勝で幕を閉じた。今大会においても素晴らしい技術のもと、数多くの好試合が展開され、その一球一打に我を忘れて興奮したものである。毎年のことながら、夏の甲子園は、球児の笑顔と涙の交錯するなか、爽やかな内にも熱気に満ちた戦いに、それぞれ地元の観衆も大いに感動したことであろう。
 ところで、我々健康保険組合を取り巻く情勢は、爽やかな笑顔が絶えて久しく、苦渋に満ちた時が永らく続いてきた。
 そんな中、先の国会で成立、公布された改正健保法は抜本改革にほど遠く、(1)患者負担を3割とする。(2)賞与からも月収と同様に保険料の賦課を行うといった、被保険者の負担増を強いるものであって、シビアに見れば当面の財政対策にとどまっているにすぎない。
 これでは、小泉総理の掲げる「三方一両損」よりむしろ「一方二〜三両損」といった内容ではなかろうか。
 いずれにしても、今回の改正は、抜本改革までのつなぎであることから、厚生労働省において早急に改革案に着手するとともに、実現に向け積極的に取り組み、今回の措置がロングリリーフとなることのないよう一日も早い改革を期待するものである。
 一方、老人保健制度においては、我々が強く主張し今度こそはと期待した「拠出金制度の廃止と新たな高齢者医療制度の創設」はまたも見送られ、老健対象者の年齢引き上げと公費負担割合の段階的引き上げといった内容で押し切られてしまった。
 他方、老人加入率上限撤廃と退職被保険者の拠出金を被用者保険に全額転嫁するという内容も含まれており、拠出金についてはむしろ軽減どころか高くなることは確実であり、現在でも保険料収入の44%まで達している拠出金が更に厳しい状況に置かれることになるだろう。
 老健制度等については、おおよそ2年を目途に新たな高齢者医療制度を創設するとあるが、健保組合は3年持ちこたえられる財政的余裕がないのが実態である。
 このような状況のもと、老健制度については健保連が主張する「突き抜け方式」あるいは諸団体から提案のある「独立型」を含めた新たな制度創設に向け、熱気に満ちた戦いも待っているので、クリーンヒットとなる改革を是非実現するよう強く望みたい。
(隆)