広報誌「かけはし」

■2002年8月 No.371
岡澤会長あいさつ(要旨)

 健康保険組合の財政は、平成13年度決算見込みを見ましても、さらに厳しさを増しております。
 大阪連合会会員組合においては、赤字組合の数が178組合と全体の約8割を超え、その赤字額は前年度の2倍以上となる550億円に達する見込みであります。
 今年度から実施された診療報酬のマイナス改定により、4月分の医療費が前年同月比で減少するなど、収支改善の兆しはあるものの、老人保健・退職者給付拠出金の過大な負担による厳しい財政状況のもとでは、まさに焼け石に水であります。保険料収入に占める拠出金の割合は、全体ですでに4割を超えており、多いところでは実に7割を超えているありさまです。
 保険料収入の伸び悩みと、急速な高齢化の進展に伴うさらなる拠出金の増加といった情勢の中で、健康保険制度を存続していくには、もはや抜本的な制度改革を断行する他に道はありません。
 さて、このような状況で、医療制度改革の一区切りとして、3月初めに国会に提出されていた健康保険法等改正法案が、ようやく参議院本会議にて可決され、成立いたしました。
 国会会期が大幅に延長された中で、野党の反発のみならず、与党内部および日本医師会からも反対や修正要求が表明されるなど、紆余曲折を経たうえでの決着でしたが、我々の悲願であり、最終ゴールでもある医療制度の抜本的改革へは未だ長い道のりが残されております。
 しかし、「九層の桜閣も塁土(るいど)より起こる」との老子の言葉にもあるとおり、この法案の成立は塁土、すなわち抜本改革へ向けた第一歩であり、一応の評価をすることができましょう。
 改正法案には、新たな高齢者医療制度の創設や診療報酬体系の見直しなどについて、今年度中に具体的基本方針を策定する旨が附則として盛り込まれており、国会審議の中でも、厚生労働大臣が遅くとも8月半ばくらいにはたたき台を示したいと述べております。
 健保連としても、医療制度の抜本的改革に向けて、厚生労働省のたたき台策定の動向を見ながら、高齢者医療費の主たる担い手である保険者としての意見を積極的にアピールしていく必要があります。そして、今年度中に策定される基本方針により、今度こそ確実に成果をあげられるよう、関係各方面に力強く働きかけていく必要があると考えておりますので、皆様方のご支援、ご協力を賜りますようお願いいたします。
 なお、各組合の自律的な取り組みとして、レセプトチェックの強化などにより医療費の無駄をなくしていくといった、保険者本来の機能を果たしていくことも重要でありますので、皆様方の地道な努力もあわせてお願いしたいと思います。
 本日の総会は、平成13年度の事業報告、収入支出決算が主議題でございますが、十分ご審議くださいますようお願い申し上げますとともに、どうか会員組合の皆様には本会事業に対するなお一層のご協力を賜りますよう重ねてお願いしまして、私の挨拶といたします。


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