広報誌「かけはし」

■2002年8月 No.371

事 業 報 告 の 概 要

1 健康保険組合をめぐる情勢
 医療保険財政は、急速な高齢化と長引く経済の低迷の中で極めて厳しい状況にあり、医療制度の抜本改革が強く求められてきたが、小手先の改革に止まり構造的な問題はその都度先送りされてきた。
 このため、健保組合の財政は悪化の一途を辿り、赤字組合は全体の9割を超え、また組合数は相次ぐ解散・合併などにより1、700組合を下まわるという史上最悪の事態となっている。
 平成13年度は、厚生労働省が9月に、少子高齢社会に対応した医療制度の実現に向けた「医療制度改革試案」を公表した。この試案については、各関係団体がそれぞれの立場で否定的な見解を示したが、成案に向けての論議が進み、11月には政府・与党社会保障改革協議会が「医療制度改革大綱」を決定するに至った。 この大綱は、制度の基本的視点と将来方向を示すとともに、14年度に取り組む考え方を大枠で整理したものであったが、健保連の主張する医療費抑制や拠出金廃止など多くの未解決問題を積み残したものであった。
 このような情勢の中で健保連では、5月に「今後の制度改革に向けての考え方」を全国でブロック説明会を開催して改革に対する意見を集約し、8月には「14年度医療制度改革の推進について」を公表し、医療費抑制、拠出金の廃止、負担増の回避などを基本方針として位置づけた。また12月5日の全国大会では「医療制度の改革断行総決起大会」として、実効性のある医療費抑制の実施、拠出金の廃止と持続性のある高齢者医療制度の構築、患者中心の医療の実現、効率的で自立した保険者を基盤とする制度の確立を決議、さらに政府に対し、診療報酬の大幅な引き下げや健保組合に対する緊急財政措置の充実などを求めた「平成14年度政府予算編成に対する緊急要請」を全会一致で採択し、関係方面への陳情活動を行った。
 平成14年3月には健保法等改正案が国会に提出され審議入りしたが、健保連としては、改革を一歩前進させるために不本意ながら「速やかな成立に期待せざるを得ない」として早期成立を支持する方針を確認した。
 大阪連合会では、理事会や各委員会で活発な論議を展開するとともに、10月には理事会の総意で府下全健保組合に呼びかけ、拠出金廃止を最重点とした4項目の決意を表明し、塩川財務大臣をはじめ大阪府選出の国会議員への陳情活動を実施するなど、一丸となった取り組みを行い、健保組合の窮状と抜本改革の早期実現を訴えた。
 しかし、平成14年度医療制度改革は、診療報酬のマイナス改定や公費投入割合の引き上げなど一定の前進はみられたものの、拠出金制度の廃止や医療費の総額抑制など根本的な多くの課題が先送りされており、健保財政は引き続き厳しい状況に変わりない結果となっている。
 さて、平成14年4月以後の情勢等につき若干触れると、健保法等改正案は、4月19日衆議院で審議が開始され、厚生労働委員会審議、参考人質疑を経て、6月21日に本会議で原案どおり可決されたのち、6月24日から参議院で審議され、会期延長となった7月26日参議院本会議で可決成立した。
 制度改革は、平成9年以降幾度となく先送りされ、健保財政は未曾有の厳しい状況となっている。
 今回の健保法等改正は、健保組合にとって期待に反するものであるが、同法の成立を足掛かりとして今度こそ、拠出金廃止を伴う新しい高齢者医療制度の創設や、真に被保険者の立場に立った保険者機能の構築など、附則に盛り込まれた今後の本格的な制度改革に全力で取り組み、真に健全な健保組合運営を実現させなければならない。
 以下、平成13年度の事業活動の概要について報告する。

2 本年度の実施事業の概要

制度対策と対外活動
   大阪連合会では健保組合の極めて厳しい財政状況を強く訴え、医療保険制度抜本改革の早期実現を図るため次の活動を実施した
陳情活動
   平成13年3月〜4月、平成13年11月〜12月に各地区会代表が延45回に亘り、大阪府選出国会議員の地元事務所を訪問して議員(秘書)に対して陳情活動を実施した。
 平成13年12月5日開催の全国大会終了後、衆・参両議員会館並びに厚生労働省において大阪府選出国会議員10名に対して、大阪連合会各健保組合が分担して制度改革実現に向けての陳情活動を実施した。
制度改革についての意見集約
   平成13年5月には「制度改革に向けての考え方」について大阪連合会としての意見書を、また10月には「医療制度改革試案」について意見を集約して本部に提出、拠出金制度の廃止など制度改革の早期実現を訴えた。
参議院選挙における
重点応援候補者支援活動
   平成13年4月〜7月にかけて、第19回参議院議員選挙における重点応援候補者に対する支援活動を実施した。
医療保険制度等検討委員会(5回開催)
総務委員会(12回開催)
  ◎大阪連合会の12年度事業報告・収支決算・決算残金処分案等の検討
◎大阪連合会の14年度事業計画・収支予算案等の検討
◎予算編成事務説明会
  出 席 365組合 790人(近畿地区)
◎新年互礼会
  出 席 652人 うち健保組合関係 176組合 267人

広報活動
   機関誌「かけはし」を通じ、緊迫する健康保険をめぐる情勢、医療保険制度等の構造改革、高齢者医療制度の創設の問題に対する解説や健保連の意見等を掲載するとともに、大阪連合会の主要な活動および事業についての広報につとめたほか、会員組合における広報活動を支援するための広報研究会を開催した。
広報委員会(12回開催)
  ◎かけはし発行
  第355号から第366号
◎広報研究会
  講 師 コミュニケーションプランナー  武山 峯久氏
  テーマ 「自分史を作ってみて〜あなたの歴史はおもしろい〜」
  出席 56組合 62人

組合業務支援対策
   組合役員の資質向上と厚生の増進および連帯感の醸成に有効な研修会・講演会を開催した。
組合業務委員会(6回開催)
  ◎組合職員事務研修会
 (2回)
 出席延べ 88組合 134人
◎組合業務担当者実務講習会
 (3回)
 出席延べ 281組合 348人
◎健保組合事務合理化研修会
 (4回)
 出席延べ 44組合 44人
◎組合職員初級実務講習会
 出 席 73組合 94人
◎組合職員ボウリング大会
 参 加 23組合 延べ145人
◎事務長クラス研修会
 出 席 104組合 107人
◎特別講演会
 講 師 尾車 浩一氏(元大関琴風)
 テーマ 「七転八起・私の相撲人生」
 出 席 76組合 114人

医療費適正化対策
   高額レセプトの点検・レセプト相談・法律相談等の諸事業を実施して医療費適正化に寄与し、会員組合への財政効果は82、631千円に及んでいる。
 また、支払基金事務連絡協議会を通じて審査問題等に関して要望した。
医療給付委員会(2回開催)
  ◎レセプト担当部会(12回開催)
◎支払基金との事務連絡会議
 出 席 連合会  24人
     (医療給付委員およびレセプト担当部員)
     支払基金 16人
     (幹事長および担当部課長)
◎大阪府医師会との打ち合わせ
 出 席 連合会  10人
      医師会  15人
◎大阪府歯科医師会との打ち合わせ
 出 席 連合会  11人
      歯科医師会 10人
医療対策室
  ◎高額レセプト点検
 点検件数  4、832件
 要再審件数  4、915件
 減額査定件数  2、075件
 返還金額   67、425、010円
◎柔道整復療養費請求誤り
 組合数延べ  79組合
 返還金額   1、633、355円
◎レセプト相談部
 利用組合数延べ 198組合
 相談件数  1、369件
◎法律相談コーナー
 相談件数  23件
 相談内容
 主として第三者行為にかかる診療費の代位求償権の行使

健康開発共同事業推進
   生活習慣病・メンタルヘルスに重点をおいた健康に関する各種講座を開設した。
 また、健康づくりに関しては、講座・卓球大会・卓球教室・健康づくり運動100キロ歩こうなどを開催したほか、契約保養所・プール施設の利用促進、各種イベントの協賛や後援等多方面からその推進を図った。
保健共同事業委員会(3回開催)
  ◎健康教室(6回開催)
 出席延べ 355組合 696人
◎健康づくり教室
 出 席   114組合 249人
◎心の健康講座(4回開催)
 出席延べ 271組合 620人
◎健康セミナー
 出 席    58組合 102人
◎健康保険組合卓球大会
 参 加    18組合 123人
 団体戦 男子17チーム  女子2チーム
 個人戦 男子15人
◎卓球教室
 参 加 168人
◎100キロ歩こう(8回開催)
 参加人数 6、518人 うち健保組合関係 383組合 2、446人
◎ウォーキング講習会
 参 加 21組合 計156人 (健保77人一般79人)
◎契約保養施設
ク全国144カ所の施設と契約締結
ケ大阪連合会ホームページで紹介
◎夏季プール割引利用券の斡旋
 プール割引利用券申し込み数
@利用入場券方式(着券清算方式)
  35組合 39、680枚
A共通割引入場券方式(窓口清算方式)
  77組合 64、830枚 計 112組合 104、510枚

総合組合関係
   総合組合の財政事情について月次調査を実施し、拠出金制度の廃止につき要望した。
総合組合委員会(4回開催)

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