 |
健保法等改正案は衆議院を通過し、参議院で審議中である。今国会で改正案が成立すると、改革基本方針決定に向けて制度改革論議が本格化する。
制度改革論議の中で老健拠出金の問題点を広く世論に訴え、拠出金制度を廃止し、新しい高齢者医療制度を創設することが、今後の健保連の最重点課題となる。
|
|
 |
拠出金廃止に向けて
法制上の問題点検討
|
健保連は、医療制度等対策委員会で拠出金問題の検討を進めてきたが、その検討結果をまとめた「老人保健拠出金の法制上の問題」を6月13日の常任理事会で明らかにした。
|
|
 |
ポイントは5項目
|
1 老健制度の目的・拠出金の性格に関する行政当局の説明
2 法制定当時の老健拠出金を巡る論議
3 拠出金の現状と問題点
4 租税法定主義、租税公平主義との関係
5 今後の戦略
|
|
 |
受益を超える過大負担
恣意的で取り放題
|
法的根拠、行政当局の見解、法制定時の論議、拠出金の現状等を分析、租税法定主義等の原則に照らし、次のような問題がある。
(1)現行の老人保健拠出金は負担の増大、精算分の巨額化などその運用の実態等から見て租税法定主義、租税公平主義の原則から逸脱している。
(2)医療保険者(拠出金納付義務者)にとって、納付額の見通しが立て難く、過大な遡及的負担が恒常的に発生し、保険運営の安定性を欠く要因となっている。
(3)拠出金は保険料として徴収したものから拠出され、保険料的性格を有するものと解されるなら、拠出する保険者の受益に見合う相当の関係があること、保険者の意志、経営努力が反映される仕組みであることが要請される。この場合、強制的賦課金であることから租税法定主義、租税公平主義の精神に則っている必要がある。
・他方、税あるいは特別の負担金としての性格を有すると解されるなら、当然租税法定主義、租税公平主義の原則に則したものである必要がある。
・いずれの立場に立ったとしても、現行拠出金制度については、法制上、また立法政策上、その当否については問題が大きい。
|
|
 |
今後の戦略
|
老人保健拠出金制度が存続する限り、拠出金を納付せざるを得ない。
この廃止と、新制度の早期移行が基本的課題だが、健保連にとって有利な法改正の早期実現を図るためにも、これまでにない対応を検討する必要がある。
|
|
 |
訴訟も視野に、拠出金
不合理をアッピール
|
医療制度等対策委員会では委員から「法制上の問題を取り上げるわけは、ただ法的な問題を分析、解明することだけが目的ではない。
世間に不合理な問題が存在していることを訴えるという政治的意味が大きい。
そういう意味で現行制度に不満を持っているいくつかの組合が訴訟を起こすというより、ある程度規模がまとまった方がアッピールできるのではないか」との意見が出された。
また、下村副会長は常任理事会で「拠出金制度は法制上かなり基本的な問題を抱えていて、行政訴訟の対象になり得ると考えている。改革の具体案の論議が本格化する16年に向けて健保連として拠出金問題について議論を深め、訴訟を起こすということであれば、それなりの体制をつくる必要がある」と述べている。
拠出金制度廃止に向けて議論を深め、体制づくりを急ぐ必要がある。
|
|
 |