近年の経済界は、世界的に不況が長引いているが、その中でひとり好況だった米国も、昨年9月のニューヨークにおける同時多発テロ事件発生以来景気が急降下し、デフレを懸念させられる程の経済不況に怯えている。幸い国内の経済は、サッカーワールドカップが今回初めて日韓両国の主催により行われた。特に今大会では、日韓とも決勝トーナメントに快進撃をする健闘と同時に、サポーター達による日本中の声援が最高に沸き上がり、市場経済も久し振りに良い兆しが見えて来たように思われる。
一方、全国の健保組合は健康保険法等の改正を、支持率の高かった小泉内閣の骨太抜本改革に期待していたが、一時は、有事法制・郵政関連法案・個人情報保護法等の大問題に押しやられ、今期国会も見送られるのではと危ぶまれた。ところが、急遽6月21日付け衆議院本会議で可決されたので、今国会中に成立するであろう。
但し、本年10月からまず施行される高齢者医療制度の改正により、高齢者の年齢は、5年間で75歳まで段階的に引き上げられる。これに伴い、現在でも高騰している退職者拠出金が、一層増加する事が確実であり、拠出金の軽減どころか、逆に高くなる可能性が強くなった。現在でも全国健保組合の拠出金平均比率は、保険料収入の44%までに達しているため、当初予算から既に9割の組合が赤字予算しか組めない窮迫財政に陥っている。
また、この赤字のもうひとつの最大要因は、年間31兆円も使われている医療費であり、なかでも老人医療費は、毎年増加する老人人口の2倍(8%)も増え続けている。従って、我々健保組合自身が高騰する医療費を抑制しなければ、財政破綻により解散の順番待ちという最悪の状況を余儀なくさせられる。
我々健保組合と同じ目的、「健康は自己責任で管理」を提唱する新しい団体”セルフメディケーション推進協議会“が5月に発足したそうだ。
その目標は、具体的には運動・休養・睡眠の取り方で「自分の健康は自分自身で日頃より管理」を推奨している。
健康維持を目的とする事では先輩の我々健保組合は、大正15年創設以来76年間の歴史ある1、700組合の全国組織である。健康予防を安易に他団体に任せるのではなく、今回の健保法改正と健康増進法の成立を機会に、「健康は自己責任で管理する」を再度積極的に取り組み、無駄な医療費の抑制により、健全財政を自力で取り戻す必要がある。
(啓)
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