広報誌「かけはし」

■2002年6月 No.369
投稿 言わしてんか!聞いてんか!
   
●保険者機能強化とレセプト直接審査におもう    
   先日「保険者機能強化」をテーマにした講演会に参加した。平成9年8月頃からいわれ出したこの言葉が今や言葉だけが一人歩きし、具体的にどのように保険者としての機能を強化していくのかが明示されていないのが現状である。
 講演の主旨は「保険者機能を強化する」ということは、これまで国がもっていた権限をできるだけ各保険者に移してその自主性に委ねることである。また、そのためには「国の代行機関としての位置付け」から、保険者の本来あるべき姿である「被保険者の代理人としての位置付け」への意識を新たにすることが大切である。
 ようするに保険者の本来の目的である「被保険者の健康を守り疾病からの回復を手助けする」ために、保険者は医療機関と被保険者と向き合って話し合い協力していくことが必要であるとのことであった。
 先般「レセプト直接審査」に対し、医師会が強く反発し合意しないよう会員に指示しているという新聞報道がされていたが、レセプト直接審査そのものも具体化されていない状況の中で、すでに本来の目的をはずした議論となっているように思われる。
 「レセプト直接審査」が解禁になったとしても、保険者としてレセプト審査・支払い業務が可能なのかどうか。また、民営化された支払基金の立場はどうなるのか等疑問が多い。本当に「保険者機能の強化」は可能なのでしょうか。ともあれ保険者にとっていかに良い状況をつくっていただけるのか、健保連の今後の対応に期待したい。
(第1地区 S・Y)
   
●「聖域なき構造改革」を!
   財政悪化により多くの健保組合が解散に追い込まれている。この最大要因は、いうまでもなく、ここ10年間におよそ倍増している老人保健拠出金にあります。
 これは拠出金の基礎となる老人医療費の伸びがいかに大きいかということです。
 厚生労働省は「国民医療費の伸びは国民所得の伸びの範囲内」ということを目標としてきましたが、現実は長引く景気の低迷等で国民所得の伸びはここ数年ゼロに近く、一方で、国民医療費の伸びは毎年4〜5%、特に老人医療費にいたっては8〜9%も増嵩しています。
 これでは、いくら組合が保健事業などの削減、縮小や保険料率の引き上げなど自助努力をしても追いつかず、もう限界にきています。
 「聖域なき構造改革」を掲げる小泉首相殿、我々が主張してきました「医療費の伸び率抑制」や「拠出金制度を廃止して、新しい高齢者医療制度を創設する」等の諸施策はどこへ行ったのでしょうか。
 今回の改正案では、拠出金の廃止どころか老人加入率上限の撤廃、退職者医療分の拠出金負担の転嫁など被用者保険の負担増が図られています。
 ぜひ、国の痛みも含めた「聖域なき構造改革」を実施していただき、どうか我々が安心して良質な医療が受けられる持続可能な医療保険制度の構築をお願いします。
(第2地区 H・Y)
 
●不健康保険組合からの脱出  
   経済が低迷し報酬月額が伸びず、逆にダウンしている状況なのに、医療費は年々加速度をつけて増加している。
 ここ何年か前から「医療制度改革」が叫ばれながら、やっとのことで今国会に「健康保険法等の一部を改正する法律案」が提出されたが、抜本改革からは程遠い、おおかたが期待はずれの中身である。
 各保険者の財政を特に圧迫している要因は、老人医療を賄うために支出している老人保健拠出金の負担であることは、衆目の一致するところであるにもかかわらず、保険者側の政治力の欠如により、改革は大幅な後退を余儀なくされている。ましてや抵抗勢力の筆頭が、厚生大臣経験者ときては、まさに「何をか言わんや!」の心境になる。老人保健法は「自助と連帯の精神」という基本理念から成り立っているとはいえ、拠出金の算定に被扶養者である赤ちゃんまでが負担の頭数に入るというのは納得ができない。
 あくまでも拠出金というかたちで老人医療費を賄うというのであれば、医療費抑制の方策を国が講じるべきである。
 拠出金の負担が重くのしかかり、保健事業を実施したくとも満足に行えない健保組合に代わり、保健師の派遣による訪問指導の強化等老人医療費の削減に全国規模で取り組んでいただきたいものだ。
 できるわけがないというのなら、健康保険組合が力を合わせて老人保健拠出金制度について提訴しようではないか。不健康保険組合が本来の健康保険組合の姿を取り戻せる日があると信じて。
(第3地区 S・O・S)
 
投稿規定
「言わしてんか!聞いてんか!」
500字以内。手書き、ワープロ自由。見出しも付けてください。原稿を添削する場合があります。
イラスト、写真も歓迎します。
原則として、投稿者の「所属組合名と実名」を掲載。匿名希望(イニシャル)の場合も、原稿には「所属組合名と実名」を明記してください。
原稿は地区会の広報委員へFAXで送ってください。
問い合わせは、健保連事務局・辰巳(06-4795-5522)へ。