広報誌「かけはし」
■2002年4月 No.367
時評

 健保連大阪連合会は3月27日、大阪北区のホテルモントレ大阪で総会を開き、平成14年度の事業計画と収入支出予算を決定した。
 事業計画では、医療保険制度改革のさらなる推進のため、健保連本部と呼応し引き続き積極的に取り組む。特に医療制度改革大綱で「出来るだけ速やかに新たな制度の実現を目指す」とされた高齢者医療制度の創設に優先して取り組むことにしている。
 また理事会、委員会、地区会活動の強化、組合業務に対する支援活動の充実、広報活動の強化、医療費適正化対策の推進のための諸事業を実施することにしている。

総会の経過
   岡澤会長が議長となり、総会の議事録署名人に、大倉建設健保組合、大阪府石油健保組合を指名、議案の審議に入った。
   
 議案第1号
  平成14年度事業計画(案)
 議案第2号
  平成14年度収入支出予算(案)
 議案第3号
  平成14年度支出予算の款内各項間の流用を理事会に委任すること
 議案第5号
  重要財産処分
以上の4議案を一括上程し、いずれも原案どおり可決された。
 議案第4号
  平成13年度特別保健福祉事業推進助成事業会計収入支出予算(平成14年3月19日理事会専決)
 予算の内容は、本部の老人保健関係特別事業のうち大阪連合会が実施した事業に関するもので、本部の予算確定に伴い提案するものであることを補足説明、承認された。
 
   このあと、健保連本部の下村副会長が、今後の制度改革論議の注目事項として@健保法改正A診療報酬改定B医療提供体制見直しC医療分野の規制緩和をあげ、予想される制度改革の内容を説明した。
 また、近畿電子産業島田専務理事が「大阪は拠出金負担が重く非常に苦しい状況である。拠出金の歯止め策など本部はもっと指導力を発揮してほしい」と要望したのに対して、「本部としては拠出金制度の法律的な矛盾等を具体的に整理・検討し、行政訴訟の場合にあっても十分対応できるようお示ししたい」と答えた。
   
   

○当日の出席状況
  出 席 185組合  
  委任状 49組合  
○来 賓
  近畿厚生局
社会保険管理官
片町 健夫氏
    社会保険課長 藤河 茂裕氏
  大阪社会保険事務局 保険管理課長 五島 隆道氏
  健保連本部 副会長 下村  健氏
  大阪連合会 特別顧問 松本 良諄氏
    顧問 内田 一男氏
    顧問 早司 欣弘氏

事 業 計 画
 
医療保険制度の改革に関する対応および組織活動の強化等
(1)医療保険制度改革の推進に関する対策活動
   健保連本部との連携を一層密にして、医療保険制度の更なる改革に向けて粘り強く取り組む。
  @ 医療保険制度改革実現のため、健保連本部と呼応しながら前年度に引き続き、理事会および医療保険制度等検討委員会を中心に、積極的に取り組む。
 医療制度改革大綱で「出来るだけ速やかに新たな制度の実現を目指す」と表現された高齢者医療制度の創設は、不公平な拠出金制度ではなく公平な保険料方式の制度となるよう他に優先して取り組む。
  A 制度改革の実現は、政治主導によるところが大きく、国会議員への陳情活動を強化するとともに、行政機関との連携を密にする。
  B 制度改革について経営者団体および労働団体と政策調整会議を開催し連携を強化するほか、医師会等医療関係団体との協議や報道機関を通じて健保連の考え方の浸透を図る。
  C 退職者医療制度に関する諸対策として、国保運営協議会・被用者保険等保険者連絡協議会対策を強化する。
  D 近畿地区協議会の活動を強化し、事業の充実に寄与する。
  E その他、事態に即応した諸対策を実施する。
(2)組織活動の継続強化
   大阪連合会の意思決定および情報連絡等が円滑に推進できるように、委員会並びに理事会活動を強化するとともに、緊密な連携のもと地区会活動の促進を図る。
  @ 理事会および総会を開催する。
  A 必要に応じて、正副会長会議・地区会長会議・各種委員会会議等を開催して対策を協議する。
  B 地区会の機能を中心とした諸活動の促進を図る。
  C 新年互礼会(第37回)を開催する。
  D 組合員および家族の保健・福祉活動の更なる発展を図るため、組合員を横断的に構成する地域を拠点とした活動について検討する。
(3)組合業務に対する支援
   会員組合の実態把握および業務合理化に関する事業等、会員組合業務に対する支援事業を実施する。
  @ 会員組合に提供する統計情報の充実を図る。
  A 組合予算編成および業務合理化に関し、行政および健保連本部と協議するとともにその円滑な推進を図る。
  B 組合予算編成事務説明会を開催する。
  C 永年勤続者表彰伝達式を挙行する。(決算総会開催時)
  D 会員組合に対する交付金交付事業を支援する。
  E その他、会員組合業務に有効な支援事業を実施する。

岡澤会長あいさつ(要旨)
 健康保険を取り巻く現下の状況についてですが、昨年の春以降、紆余曲折を経た医療制度改革の一区切りとしまして、今月初めに健康保険法等改正法案が国会に提出されました。改革の内容を見ますと、総報酬制の導入、サラリーマンの自己負担の3割への引き上げ、診療報酬の引き下げなどが含まれており、一歩前進との評価はできますが、肝心要の新しい高齢者医療制度の創設は見送られ、抜本改革はまたも先送りとなっております。
 一方、ご承知のとおり健康保険組合の財政はこれまでで最も厳しい状況下にあります。全国の平成14年度予算見込みを見ましても、赤字組合数は1、541組合と初めて全体の9割を超え、赤字額も過去最高の5、731億円となっております。これは、組合の解散など、被保険者数の減少に伴う収入の減少もさることながら、保険料収入の44%にも達する拠出金の増加によるところが大きく、拠出金の負担がいかに組合の財政を圧迫しているかがあらためて浮き彫りとなっております。
 大阪連合会においても、赤字組合数の割合が92%を超えるなど、全国よりもさらに深刻な状況となっております。各組合とも、赤字の穴埋めのために、保険料率の見直しや積立金の取り崩しなどの必死の努力を続けているところではありますが、それももはや限界にきており、制度の抜本改革なしにはこの問題は到底解決しえないものと考えております。
 健康保険法等改正法案に対する国会での論議はこれからでありますが、こうしたなかで健保連は、「不満の残る決着ではあるが、当面とり得る次善の策として、この法案の速やかな成立に期待せざるを得ない」との見解を発表しました。なお、この法案には、新たな高齢者医療制度の創設、診療報酬体系の見直しなどについて、平成14年度中に具体的基本方針を策定することも盛り込まれておりますので、それに期待して、健保連としても、悲願の老人保健拠出金制度の廃止に向けて、プロジェクトチーム体制で政府に強く働きかけていく予定であります。
 最新の推計によれば、わが国の総人口は4年後(2006年)をピークに減少に転じると見込まれるなど、高齢化に対して求められる対応はもはや「待ったなし」の状況であります。
 大阪連合会としても、わが国のすばらしい財産である国民皆保険制度を維持すべく、経営者団体および労働団体と一体になって活動してまいりたいと考えておりますので、皆様方のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

広報活動の推進
 医療保険制度の更なる改革の推進と高齢者医療制度の創設に向けて広報活動の充実を図るとともに、次の事項を実施する。
(1)機関誌「かけはし」の発行
  @ 親しみやすく読みやすいものとし、併せて広く対外的な広報誌としての役割を高める。
  A 次の項目を重点的に掲載する。
・医療保険制度改革の推進。
・健康保険組合の財政と事業運営。
・大阪連合会の主要な活動および事業。
・大阪中央病院を支援するための広報。
(2)広報活動の強化
  @ 広報研究会を開催する。
  A 健康づくり行事を行う各種団体との連携および活動を紹介する。
  B 近畿地区協議会広報懇談会へ参加する。
  C 健保連大阪ホームページを充実強化する。
(3)関係団体等に対する対外広報宣伝の強化
  @ 経営者団体および労働団体との情報交換を強化する。
  A 地元選出国会議員との情報交換を密にする。
  B その他、必要に応じ関係者との情報交換を充実する。

会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善・合理化の推進
 会員組合役職員の資質向上と組合業務の改善と合理化に資するため、研修・講習会等次の事業を実施する。
(1)会員組合役職員の資質向上に関する事業
  @ 事務研修会(1泊コース)を開催する。
  A 事務長研修会を開催する。
  B 組合業務別実務講習会(適用・給付・庶務会計関係)を開催する。
  C 改正法等説明会を随時開催する。
(2)組合業務の改善・合理化の推進に関する事業
  @ パソコン研修会(3日コース)を充実する。

医療費等適正化対策の推進
  医療費等の適正化対策を推進するため、次の事業を実施する。
(1)行政機関・医療関係諸団体との連携強化
  @ 大阪社会保険事務局との打ち合わせ会を開催する。
  A 医師会・歯科医師会および柔道整復師会との打ち合わせ会を開催する。
(2)支払基金との連絡・調整の緊密化
  @ 事務連絡調整会議および事務連絡協議会を開催する。
  A 専任審査員との打ち合わせ会を開催する。
(3)医療費等適正化に関する情報の収集と活用
  @ 医療費の地域格差の是正を推進する。
  A 老人医療費の適正化を推進する。
  B 柔道整復師の施術にかかる療養費の適正化を推進する。
  C 超高額レセプトの点検結果を活用して医療費の適正化を推進する。
(4)レセプト点検に関する調査・研究の強化
  @ レセプト点検に関する情報を広範囲に交換し、調査・研究活動を推進する。
  A レセプト点検に関する講習会・研修会を開催する。
  B 地区会レセプト研究部会に、審査・減点事例集およびレセプト点検の手引きを作成・配布し、その活用を図る。
  C 診療報酬の改訂等に関する説明会を開催する。
(5)医療対策室の活動強化
  @ 高額レセプト取扱要領に基づき超高額レセプトの点検を実施する。
  A レセプト・保険給付相談コーナーを開設する。
  B 法律相談コーナーを開設する。

健康開発共同事業の推進と保健福祉共同事業の実施
 会員組合における生活習慣病予防を中心とする健康管理事業の推進に寄与するため、健保連本部の健康開発共同事業の実施方針に基づき、「健康日本21」への対応を含め次の事業を効率的に実施するとともに、特別保健福祉事業を継続実施する。
(1)健康教育の実施
  @ 「健康教室」を開催する。
  A 「心の健康講座」を開催する。
(2)健康・体力づくり事業の実施
  @ 「健康づくり教室」を開催する。
  A 健康ウオーク事業を後援する。
  B 運動奨励事業に関して調査研究を行う。
  C プール利用券の斡旋を行う。
(3)保健活動の実施
  @ 保健共同事業の利用促進により保健師活動の普及・拡大を図る。
  A 保健事業を発展させ、実効ある保健師活動を実施するための調査研究を行う。
  B 保健師連絡協議会への加入促進を支援する。
  C 健保連大阪中央病院の健康管理センターと連携し、会員組合の保健事業の推進に協力する。
(4)共同利用施設の契約
    体育施設・保養施設の共同利用の契約と利用促進を図る。
(5)エイズ対策
    エイズに対する正しい知識の普及啓発に資する事業を実施する。
(6)特別保健福祉事業の継続実施
    別途、本部方針に基づき計画する。

総合組合の運営助成
 総合組合の運営に資するため、次の調査・研究に関する事業を実施する。
(1)総合組合の実態に関する調査資料の作成

(2)その他、必要と認めた事業


近畿地区協議会との連携
 諸事業の実施に際しては、必要に応じて近畿地区協議会と連携を図り、地協活動の積極的な推進に寄与する。

平成14年度収入支出予算概要(単位 千円)