今国会へ提出された健保法等改正案の最大の焦点となっているのは、医療費自己負担が3割になることである。
社会保障は税金と保険料と自己負担、この3つのバランスを最大公約数的にとりながら、我々国民の財布から出さねばならないわけである。
もしも国民が所得の40%以上を税金や保険料といったかたちで支払わなければ社会保障が成り立たなくなるとしたら、現実的には負担には耐えられないだろう。したがって病気になった場合の自己負担を引き上げるか、あとは健康に関心を持って病気にならないようにすることが残された問題である。
今回の3割自己負担について、健保連会長は「保険としては、これが患者自己負担の限界である。将来にわたって患者負担をこれ以上あげるといった事があってはならない」と、述べた。
人生50年時代には起こらなかった問題が現在の高齢社会にはいろいろ生まれてくる。それが医療や介護であり、高齢社会が背負わなければならない課題ともなっている。
いずれにしても社会保障そのものがピンチに立たないよう、国民は老人も含めて多少の犠牲を払わなければならない時期に来ているのだという認識を持たねばならない。
もうひとつは、出生率の低下である。働くものが国の経済を支えているが、問題は、老人を支える若い人たちが増えないことにある。
女性の社会進出、結婚への考え方、保育所、子供の教育費など、安心して子供を生み育てることが出来る環境でなければ、少子社会にも歯止めがかからない。
医療改革と並行して経済、社会環境の仕組みを整備する等、総合的に考える必要がある。
今回の改革案では将来展望が定かでない。抜本的見直しを引き延ばせば延ばすほど矛盾は拡大し、将来に大きな苦痛と犠牲を伴う。
健保連・健保組合は医療保険制度・医療等の抜本的な合理化と効率化に指導力を発揮すべきである。
「新しい高齢者医療制度」を一刻も早く実現させるため、いま以上に改革へ向けて取り組む必要にせまられている。
(Y・K)
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