広報誌「かけはし」
■2002年3月 No.366
時評
 
   大阪連合会は3月13日、医療保険制度等検討委員会を開き、政府が今国会に提出した健康保険法等改正法案に対する大阪連合会の考え方をまとめ、3月19日の理事会に報告承認された。
 健保連本部は3月5日、「拠出金の廃止と高齢者医療制度の先送りは遺憾とし、附則の項目の検討と改革の実施、今次改正法案の速やかな成立を期待する」という見解を発表している。
 大阪連合会の「考え方」は大阪の組合の厳しい財政状況をふまえて拠出金制度の不公平を指摘し、老人加入率上限撤廃など見直しは容認できないとし、高齢者医療制度創設に向けて政治・行政への働きかけ強化を訴えたものとなっている。
   
●健康保険法等改正案に対する健保連大阪連合会の考え方
   医療保険制度改革の第一歩として、健康保険法等の改正法案が国会に提出された。
 高齢者医療保険制度について、現行制度の下で対象年齢や患者負担の見直しなどが行われることになったが、「改革」とはほど遠く、「手直し」と言わざるを得ない。
1・大阪府下190組合の現状は、拠出金負担が保険料収入の45%を超えている組合が109組合(57・4%)にものぼり、まさに拠出金負担団体に陥っている。拠出金制度の廃止は、このような現状から要望しているものであり、法案にある老人加入率上限の撤廃等負担増に結びつく見直しは、不公平な拠出金制度の矛盾をさらに増幅するものとして、容認できない。
2・しかしながら、健保組合の解散や合併が相次いでいる厳しい状況のもと、当面とり得る方策として、附則にある新しい高齢者医療制度の早期実現とあわせて、今回の法案のすみやかな成立に期待せざるを得ない。
3・今後は、新しい高齢者医療制度の創設に向け、その検討の着手を促し、健保連の主張する拠出金廃止が実現するよう、経営者団体・労働団体と議論を尽くし、政治・行政の場に強く働きかけていかねばならない。
   
●《資 料》 改正法案・附則 医療保険制度の改革等
  1 医療保険各法に規定する被保険者および被扶養者の医療に係る給付の割合については、将来にわたり100分の70を維持するものとすること。
2 政府は、将来にわたって医療保険制度の安定的運営を図るため、平成14年度中に、次に掲げる事項についてその具体的内容、手順および年次計画を明らかにした基本方針を策定するものとすること。当該方針に基づいて、できるだけ速やかに(ケについてはおおむね2年を目途に)、所要の措置を講ずるものとすること。

ク保険者の統合および再編を含む医療保険制度の体系の在り方
ケ新しい高齢者医療制度の創設
コ診療報酬の体系の見直し

  (正)