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■2002年2月 No.365 |
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「アレルギー性鼻炎花粉症について」をテーマに、大阪大学医学部保健学科教授の荻野敏氏による健康教室が1月22日、薬業年金会館で開催されました。 |
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花粉症とは花粉を抗原としたT型アレルギー疾患の総称で、代表的な症状としてくしゃみ、鼻水、鼻閉が挙げられます。その発症のメカニズムは、例えばスギ花粉という抗原が体内に入ると、さまざまな細胞を通してIgEというアレルギーに関係する物質ができ、肥満細胞にくっつきます。そして再びスギが入り肥満細胞に吸着すると、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターが放出されるんです。 |

荻野 敏 氏 |
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三叉神経の末端を刺激し、脳を介して起こる反応がくしゃみ、鼻水で、鼻閉はヒスタミンやロイコトリエンが直接鼻粘膜の血管系に働いて起こります。ですから薬剤治療に関しては個々の症状に合わせて行う必要があります。
先に代表的な症状としてくしゃみ、鼻水、鼻閉を挙げましたが、それらの症状と同時に目のかゆみやのどのかゆみ、そのほか耳のかゆみや頭が重い、全身の倦怠感などもあり、花粉症は全身疾患であるといえます。
花粉症の症状と似たものに風邪がありますが、診断の際、季節性や眼症状の合併などから鑑別します。そのほか花粉症と鑑別しなければならない疾患として、血管運動性鼻炎、副鼻腔炎、アスピリン喘息、妊娠による鼻炎などがあります。 |
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治療についてですが、基本は「抗原を回避、除去すること」。具体的には、ク花粉源への対策として、@原因植物の除去。A転地療法。そしてケ花粉曝露への対策として、@花粉情報に注意する。A外出を控える。B飛散の多い時は窓、扉を閉めておく。C外出時にはマスク、メガネをする。D帰宅したら洗顔、うがいなどを行い、服などもよくはたいてから入る。以上があげられます。
その他の治療法として、ストレスや疲労を減らす。運動による体力づくりなど、日常的な健康管理による「心身の鍛練」。「特異的減感作(免疫)療法」。「非特異的減感作(免疫)療法」。「薬物療法」。「手術療法」などがあります。
「薬物療法」には、点鼻薬や漢方薬なども用いますが、ほとんどの場合は、抗ヒスタミン薬、ステロイド薬、抗アレルギー薬の3種類の薬剤で治療を行いますが、いずれの薬剤も眠気など、多少の副作用がありますから、個々の症状、性別、仕事なども考慮した治療が重要です。 |
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