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■2002年1月 No.364 |
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「脳卒中医療の進歩―その予知・予防は可能か―」をテーマに、大阪大学医学部付属病院神経内科・脳卒中科副科長の松本昌泰氏による健康教室が12月14日、薬業年金会館で開かれました。 |
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脳卒中は紀元50年頃に東洋では初めて中国で現れ、日本では760年頃に卒中という言葉が記録されているなど、2000年程前からある病気であり、撲滅できずに苦しめられている病気でもあります。
昭和51年に日本脳卒中学会が設立。さまざまな研究等が行われてきましたが、脳卒中の領域に関しても大きな変革が起こりました。
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松本 昌泰氏 |
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現在、脳卒中については「brain attack(脳発作)」という言葉がよく使われます。これは「heart
attack(心臓発作)」同様、発症後短時間(3時間以内)で治療することで症状がよくなるということで、救急医療体制を含めて進められているわけです。
脳卒中の警告症状としては、@身体の片側の顔、腕、足に突然の脱力感が出現。A突然目が見えにくくなったりものがぼやける。特に片目に起こる。B言葉がしゃべれなくなったり、話をしたり理解するのが困難。C突然の激しい頭痛。D訳の分からないめまい感、ふらつき感や突然の転倒とくに@からCの症状を伴う場合。以上が挙げられます。 |
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今や脳卒中の治療は急性期治療から超急性期(発症後3〜6時間以内)治療の時代に突入しました。そのためには普段から、発症したらどこに行けばよいのかを知っておかなければなりませんが、それができていません。
救命医療からバイタルな活力ある命がどれだけあるかを求める救障害医療へと質をとわれる時代へと変わったわけですが、てんかん発作やうつ状態、痴呆状態など、脳卒中は障害をもたらす病気として一番多いんです。こうしたことからも現在アメリカでは非常に大きな力を脳卒中に注いでいます。 日本の現状としては、脳卒中の死亡率は下がっていますが、有病率、受療率は増加しており、2020年には300万人に達すると予測されます。脳卒中のインパクトをまとめると、@死亡総数の2割弱、A死亡原因の第3位(単一臓器の疾病としては第1位)、B入院原因の第2位、C寝たきりの最大原因(約40%)、D医療費の1割弱を占める、E訪問看護利用者の40%を占める、といえます。
以前に、佐々敦行氏著の「危機管理」を読み、そこに記された「危機の予知・予測(情報システムの構築)」「危機の防止・回避・事前の諸準備」「危機対処(極限処置)」「危機再発防止」は、まさに脳卒中にあてはまると感じました。21世紀の医学は発症・診断・治療の医学から予知・予防の医学へとシフトしているのです。 |
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