広報誌「かけはし」
■2001年12月 No.363
    医療制度改革断行総決起大会(平成13年度健保組合全国大会)が12月5日(水)、東京国際フォーラムで開催された。
 大会には全国1,727健保組合の代表4,187人が参加した。
 参加者から政府・与党の改革大綱への不満や怒り、現場の窮状を訴える発言が続出した。
 最後に制度改革断行へ向けて総力をあげて取り組む決意を表明した大会決議と政府に対する緊急要請が満場一致で採択された。
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開会を宣言する越後正紀大会運営委員長
(松下電器健保組合専務理事)
 医療制度改革断行総決起大会(平成13年度健保組合全国大会)が12月5日(水)東京国際フォーラムで開催され、全国1、727健保組合の代表4、187人が参加した。
 厚生労働省の改革試案より大幅に後退し健保組合の期待を裏切る政府与党の改革大綱への失望と怒り、健保組合崩壊への危機感が交錯する緊迫した大会となった。大会では▽実効性のある医療費抑制の実施、▽拠出金の廃止と持続性のある高齢者医療制度の構築、▽患者中心の医療の実現、▽効率的で自立した保険者を基盤とする制度の確立、を求めた決議を採択した。
 また、近畿電子産業健康保険組合の島田進専務理事が緊急動議を提案、診療報酬の大幅な引き下げや、拠出金制度廃止までの軽減措置、健保組合に対する緊急財政措置を求めた「平成14年度政府予算編成等に対する緊急要請」を採択した。(大会の詳細は本部発行の「健保ニュース」12月中旬号に掲載)
 大会終了後、本部役員、都道府県連合会代表が各政党および関係国会議員、厚生労働省、財務省などに対する陳情活動を行った。

関係団体勢揃い
●緊急動議提案理由
緊急動議を提案する島田進氏
   先月29日に14年度改革を審議していた政府・与党社会保障改革協議会が「医療制度改革大綱」をまとめたところです。
 しかしながら、その内容は、われわれが期待していたものとはほど遠く、拠出金の廃止については、触れられることなく、新たな制度創設についても明確な実施時期が示されることはありませんでした。
  また、診療報酬については14年度改定で引き下げの方向は示されたものの、具体的な数値は年末の予算編成を待たねばならず、医療費の総額抑制については、具体的な内容もなく、果たして真の構造改革といえるのか、大きな疑問を抱かえざるを得ません。よって診療報酬の改定については、大幅な引き下げを要求いたします。
 加えて、大綱が示されるまでの間、日本医師会が、政治を利用した反対運動を執拗に続けてきたことに、大きな怒りを覚えるものであります。このようなことがまかり通れば、「小泉改革内閣」のキャッチフレーズであり、制度改革の柱である「三方一両損」どころか、「一方三両損」になってしまうではありませんか。
 私どもは、圧力団体の横暴により何度も先送りされた医療制度改革がやっと実現されることを期待して今日まで頑張ってきたところですが、もうこれ以上は無理です。国や政治は本当に健保組合の実情を理解しているのでしょうか。われわれを見捨てようというのでしょうか。
 私どもの組合の13年度の拠出金は、老健・退職者を合わせて、保険料収入の49%を占め、法定給付費の58%を加えると108%になります。そのため、13年度決算では、経常収支で約15億5、000万円の赤字となる見込みであります。
 このような状況下で、先に健保連が示した方法により、財政シュミレーションを行いましたが、14年度の医療費抑制効果は少なく、むしろ財政は悪化することが明らかになっております。また、拠出金についても、老健の12年度精算額が約7億5、000万円、加えて退職者拠出金がどれほど増えるのか、お先真っ暗闇でございます。これでは、運営責任者である保険者としての意味もなく、単なる拠出金負担組合になってしまうだけです。まさに「一方三両損」の状況にあります。今回の大綱によれば拠出金制度は存続いたします。したがって、拠出金廃止までの間、負担軽減措置を要求いたします。
 今回の制度改正の内容では、14年度も、厳しい財政状況による保険料収入が減少することに加えて、12年度の巨額な拠出金の精算債務の重圧により、予算編成を行うことが極めて困難であります。
 よって、14年度政府予算編成に当たっては、緊急の財政措置がとられるべきであり、このことを本大会の名において決議し、是非実現していただきたく、ここに強く要望いたしまして、緊急動議といたします。