広報誌「かけはし」
■2001年12月 No.363

知っているようで知らない健康の常識
    「健康づくり教室」が11月15日、薬業年金会館で開催され、テレビ番組でお馴染みの松原英多氏が「知っているようで知らない健康の常識」と題して講演しました。
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●脳の血液循環の悪さが痴呆発症に
   中高年の人が今、一番気にしているのは痴呆症です。痴呆の初期症状の第1は「記憶力の低下」ですが、記憶力の低下は誰にでもあります。「朝食に何を食べたか思い出せない」のは健康老人の記憶力低下で、「朝食を食べた事を忘れている」のが痴呆です。第2は「計算力の低下」で、数字そのものの価値観が分からなくなります。そして「時・場所の見当識の低下」が挙げられます。
 男性に多いのが血管型の痴呆症、女性に多いのがアルツハイマー型の痴呆症ですが、どちらも脳の血液循環が悪くなることで発症するという点では同じです。

熱演される松原先生
   各市町村とも予防への取組みを行っていますが、口を揃えていうのが「運動をしなさい」です。確かに運動そのものは有効ですが、持続しなければまったく効果がない。何かを持続するためには普段やっている事にプラスすればいいんです。
 例えばよく噛む事。しかしこの軟食の時代に噛む絶対数を増やすのは難しいですから、毎食後ガムを噛む事をお勧めします。

●生活にプラスαの工夫で予防する
   今やほとんどの人に認知されている「8020」は結構な言葉ですが、それを実現する方法を教えるところがありません。歯(特に奥歯)が抜けると咀嚼率が低下し脳の血液循環が悪くなります。歯を失う原因の多くは歯周病ですが、歯垢・歯石を完全に落とすには約30分かかるんです。しかし食後すぐなら3分でも30分磨いたのと同じ効果が得られます。それも実行できないのならば緑茶でうがいをするようにしてください。
 「人間は血管と共に老いる」という言葉がありますが、動脈を1とすると、静脈が2、毛細血管が600〜700にもなります。血液が凝固するのはニカワが入っているからです。50歳を過ぎると皮膚がしっとりと汗ばんだ時点で血液のドロドロ感が始まっています。ですから血液を毛細血管のすみずみまで行き渡らせるためには水分を頻繁にとる事が重要です。
 最近は若者も姿勢が悪いですが、背中が丸くなると、肺が圧迫され肺活量が少なくなるので、脳に酸素が十分に行かなくなります。ですから普段から姿勢にも気をつける事。具体的に正しい姿勢とは普通にまっすぐ立ってつま先に少し重心をかけた状態です。「よく噛む」「歯を磨く」「水を飲む」「姿勢を良くする」など、脳をコントロールすることは痴呆だけでなく他の疾病にも影響します。