広報誌「かけはし」
■2001年11月 No.362
    政府・与党の社会保障改革協議会は11月16日、平成14年度の医療制度改革に向けての中間報告をまとめ、同日自民党厚生労働部会もこれを了承、小泉首相に報告した。
 
 中間報告では、患者負担増や老人医療費の伸び率の上限制導入などについて「さらに意見の集約をはかる必要がある」というあいまいな表現にされ、診療報酬引き下げについても「昨今の経済動向に応じて判断すべき」となっていて具体像は示されていない。
 ヤマ場は同協議会が最終案を作成する11月末、政府は経済財政諮問会議が11月30日にまとめる来年度予算編成の基本方針との同時決着を図りたい考えだが、与党内には予算案の決定時までは決着が難しいとの声が強い。
 小泉首相は「医療機関、保険者、患者の三方一両損でだれにも喜ばれないが医療制度改革は断行する」と再三明言しているが、与党厚生労働関係議員と日本医師会の激しい抵抗で患者負担増、診療報酬引き下げなど改革の柱が先送りされるおそれも出てきた。
14年度医療制度改革

  厚労省試案 与党改革協の中間報告 今後の見通し
患者負担 サラリーマン本人の窓口負担を現行の2割から3割に、70〜74歳は1割から2割に引き上げ。3歳未満は3割を2割に 給付率の統一については現下の厳しい経済情勢との関係などを踏まえ、さらに意見の集約を図る必要がある 全体や一部世代について負担増先送り議論が強まる可能性あり
高齢者医療制度 対象年齢を段階的に現行の70歳以上から75歳以上に引き上げ。患者窓口負担を1割に統一。高所得者は2割負担 対象年齢見直しの実現を図ることが適当との意見もあったが、現時点においては、現実的ではないとの意見もあった 先送りの可能性もあり
老人医療費の伸び率管理制度 経済の動向と大きくかい離しないよう伸び率目標を設定し、その範囲に抑制する枠組みを構築する 強い反対意見もあり、公平・公正な伸び率管理の具体的手法を見極め、意見の集約を図る必要性がある 上限設定ルールの見直しや努力目標とする考え方も有力
診療報酬 体系的な見直しを進める。次期改定においては、最近の経済の動向、保険財政の状況等を勘案し、見直しを行う 体系的見直しの基本的認識は一致。02年度改定については、昨今の経済動向等に応じて判断すべきだとの意見があった 引き下げに反対する医師会などとの間で年末まで激しい綱引きに