広報誌「かけはし」
■2001年11月 No.362
 
  健保連は11月6日、健保会館(東京・乃木坂)で都道府県連合会会長会議を開き、医療制度改革の平成14年度実現に向けて、組織が全力をあげて取り組むことを確認し、全国の健保組合の意見を集約した決議を採択した。
 今後各都道府県連合会、健保組合は決議内容を組合役員、事業主、被保険者へ周知徹底を図るとともに、政党・国会議員への陳情要請活動を進め、改革実現決起大会を行うこととしている。

 決議は、@実効性ある医療費抑制A拠出金制度廃止B社会保険方式明示C14年度緊急財政対策実施の4項目。
 本部の考え方に対して、拠出金廃止を最優先項目にした大阪連合会、和歌山連合会、制度一本化反対と健保組合の位置づけの明瞭化を求めた滋賀連合会、総報酬制導入反対を明記した北海道連合会など独自の決議を行った連合会もあったものの最終的に本部原案どおり満場一致で採択された。


決  議
 厚生労働省の「医療制度改革の試案」が示されて以来、健保連はすべての健保組合において、その内容の検討を進め、各都道府県ごとに評価、意見等の集約を目指してきました。その結果、全都道府県において、14年度改革は次の事項に改善を加えた上で実施すべきであるとの結論に達しました。
 今後、組織の全力をあげて、その実現を期するものであります。
   
一、実効性のある医療費抑制策を図ること
   厚生労働省の医療制度改革試案では、医療費抑制について次々年度の調整となっており、14年度、15年度の両年度には全く反映されません。また、その考え方は伸び率の管理に過ぎず、目標とする伸び率は、老人人口増に加えて一人あたり単価増を認めており、最近の深刻なデフレ経済のもとでは妥当とはいえません。一般医療費の抑制も含め、実効性のある医療費抑制策を講じるべきと考えます。さらに、診療報酬についても同趣旨からマイナス改定にすべきと考えます。
   
二、持続可能な医療保険制度を構築するため、拠出金制度は廃止すること
   拠出金負担問題については、老人医療対象者の年齢引き上げなどに留まっており、根本的な解決にはなっておりません。拠出金方式の一部見直しも加入者上限率の撤廃だけであり、未成年者が拠出金負担の対象者になっている問題などが解消されず、拠出金制度は現状に近い形で残ります。
 このため、試案の実現によって拠出金が保険料収入の4割以上を占める状況は改善されず、平成19年まででも、増加の可能性がある状態が続きます。平成20年以降は、高齢化の進展により更に増加の傾向を強めることが見込まれます。
 こうしたことから、組合の自主的な運営が妨げられるばかりか制度の持続的安定性は得られず、各医療保険制度が収支の均衡を崩す状況が目に見えています。将来を見据え、拠出金を保険料化する具体的方策を講じるべきです。
   
三、医療保障制度の将来像を明らかにすること
   患者を中心とした医療の実現や医療サービスの効率化を図り、医療の質を確保していくためには、保険者機能の強化を図る必要があると考えます。そのためには、社会保険方式を基礎として皆保険体制を維持することが必要で、新しい高齢者医療制度を含む社会保険方式による将来像を明示していただきたいと考えます。
   
四、平成 年度については緊急財政対策を講じること
   厚生労働省試案では、14年度の制度改正効果は期待できず、逆に12年度の老人保健拠出金の清算不足分の追加徴収の影響で、多数の組合が14年度の予算を組むことが困難な状況となっております。そのため、14年度においては、緊急の財政対策を講じるよう切に要望いたします。
   
  平成13年11月6日
    健康保険組合連合会
    都道府県連合会会長会議