広報誌「かけはし」
■2001年10月 No.361
健保問答 第253回
   
  ●傷病手当金と失業給付金
     
Q
 任意継続保険に加入していますが、退職の3カ月前から傷病手当金を受けています。軽作業なら可能なので、そのような仕事が見つかるまで失業給付金を受けたいと思いますが、あわせて傷病手当金の給付を受けられますか。
A  雇用保険は、被保険者が失業した場合に、失業給付を行うことにより、その生活の安定を図ることを目的としています(雇用保険法第1条)。
 この「失業」とは、被保険者が職を離れ、労働の意思および能力を有するにもかかわらず、職につくことが出来ない状態(同法第4条)をいいます。従って、失業給付を受けていることは、その支給期間について労働の意思および能力があったと認められたことになりますから、同期間について労務不能を支給の要件としている健康保険の傷病手当金の支給を受けることはできません。それは、労務可能と同時に、労務不能ということはないからです。
 ただ、雇用保険では、疾病または負傷のための労務不能は、その期間が一時的なものであれば、一時的労務不能と認定されて失業給付を受けている場合があり、この場合に傷病手当金の支給を受けるためには、失業給付金を返納して、あらためて傷病手当金の支給を申請しなければなりません。
 傷病手当金支給要件の一つ療養のために「労務ニ服スルコト能ハザルトキ」とは、全く労務に服しないことをいうのであり、短時間でも就労した場合、あるいは他の軽易な業務に服した場合は、傷病手当金の支給は受けることは出来ません。(昭和29年12月保文発第14236号)