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■2001年10月 No.361 |
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「ライフサイクルの中で人間がおちいりやすいメンタルな危機」をテーマに、大阪樟蔭女子大の夏目誠教授(人間科学部心理学科)が9月17日、薬業年金会館で講演。「サザエさん症候群」など身近な事例をあげて参加者の興味を引きました。 |
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●人生の節目・節目に心の危機が訪れる |
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人生の節目・節目には過剰なストレス状態になりやすいこころの危機(クライシス)が3回くらいは訪れます。作家の林真理子氏が表現した「弱り目にタタリ菌が大発生」というまさにその状態です。
具体的には児童期から青年期、壮年期などライフサイクルのなかでの就職、結婚、子供の出生、子育て、親離れ・子離れなどの節目に訪れます。例えば10代では反抗期があります。 これは親離れをする意味でも必要な時期であり、誰もが経験することですが、この時期にちょうど受験が重なりそれが失敗、それがきっかけで恋愛もうまくいかなくなる。このような「弱り目にタタリ菌〜」状態のときに過剰ストレスでダウンしてしまうんです。
本日のキーワードは先に説明したライフサイクル、危機(クライシス)ほか、サザエさん、空の巣、吐きダコ、燃えつき、うっかり症候群(シンドローム)です。事例から具体的な課題、ストレッサーや反応をみなさんで考えてみましょう。
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●身近な事例で理解を深める |
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事例1の35歳の山中さん(仮称・以下同じ)は、妻と子供2人の4人家族で、性格は真面目でコツコツ積み重ねるタイプ。4月に係長に昇進。はじめての経験に戸惑うなか、毎日が根回しと会議の連続であった。6月初め頃からテレビでサザエさんを見ても笑えなくなり、寝床に入っても明日の仕事が気になり寝付けない。朝気分が勝れない。経済新聞に目を通しても見出し以外は頭に入らず集中できない。
これは役職時に伴うクライシスで、まさにサザエさん症候群です。
事例2の総務課長の田中さんは、最近元気のない部下の山田さんが気になる。彼は4月の異動で転勤、周りの雰囲気に慣れようとしているが、仕事のペースが落ちているし雑談の輪にも参加しない。うつむき加減で仕事をし、笑顔が見られない。1週間様子を見たが変わらない山田さんに「どうしたのか、元気がないみたいに見えるが・・・。頑張ってやってほしい」と、ついうっかり励ましの声をかけてしまった。でも彼は落ち込んでいくばかり・・・。実は山田さんは「うつ病」の初期の状態であった。
これはうっかり症候群の例ですが、うつ病の症状としては気分の落ち込み、無気力、自殺があります。この場合は、明らかなうつ状態ですが、心の病気、ストレス過剰状態の時に頑張れなどと、励ますことは逆効果ですから、注意してほしいのです。 |
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▲講演の前にリラックス体操を
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