広報誌「かけはし」
■2001年9月 No.360
時評
●痛みは公平に! −「本人負担3割」の報道から−
   社会保障費3千億円削減
   社会保障関係費の平成14年度概算要求枠が7、000億円増と決まり、約1兆円の自然増が見込まれるため、約3、000億円を削減するという課題が出された。
 社会保障関係費の削減は、主として法律改正が必要であり、平成14年度は医療保険制度改革しか予定されておらず(年金制度・介護保険制度が現行制度を維持すると)医療費全体の国庫負担率25%から逆算すると、約1兆2、000億円の医療費抑制が必要となる。
   
   老人医療費抑制の効果は?
   9月5日『厚生労働省は高齢者の自己負担増を予定している』との報道があり、このことにより老人医療費の総額抑制効果および拠出金削減効果はあると考えられるが、抜本改革の強力な推進力になりえるだろうか・・・と時評を書き上げたら、翌日『健保加入者の窓口負担を2割から3割へ引き上げることが、医療制度改革での主な検討事項の1つである。』との追加報道がなされた。
 医療費の伸びを抑制し、悪化している医療保険財政を立て直すため、患者・医療機関・保険者の三方に痛みを求め、抜本改革を断行する腹づもりらしい。医療機関には、診療報酬の引き下げを、保険者には、保険料率の引き上げや総報酬制の導入を求めるとの内容であった。
   
   医療側も相応の負担を
   このように、日々情勢が変化している状況下、健保連としてどのように正確な情報の共有化を図り、イニシアティブをとれるのか、まさに真価が問われているといっても過言ではない。
 一定の痛みの負担は止むを得ないが、痛みの負担は公平でなくては納得できない。ましてや、診療側のみ痛みが少ない構造は社会的にも許されない。
 各健保組合も健保連からの情報を受け、より主体的に、組合が目指す医療保険制度改革の実現に向けてまい進しようではないか。
 まさに、正念場である。
(N・K)