広報誌「かけはし」
■2001年8月 No.359
大阪連合会総会

岡澤会長あいさつ(要旨)

 健康保険組合の財政は、先般公表しました平成12年度決算見込みを見ても、依然として、厳しい状況下にあります。
 大阪連合会会員組合においては、赤字組合は、152組合と全体の約7割に達し、その赤字額は250億円を超える見込みです。
 このように苦しい財政状況に陥った要因が、老人保健・退職者給付拠出金の過酷な負担にあることは、いうまでもありません。
 介護保険制度開始にともなう高齢者医療費の削減効果は予想を下回り、保険料収入に占める拠出金の割合は約4割に達しています。
 保険料収入の伸び悩みと、急速な高齢化の進歩と相俟って、もはや抜本的な制度改革なしには、安定した将来展望は描きようがない、という窮状にあるといえましょう。
 そうした厳しい状況の中、参議院選挙も終わり、「小泉改革」への期待感という追い風を受け、与党が大幅に勢力を拡大する結果となりました。これからは改革の実行が急務です。後ずさりは許されません。
 政府は先月末に「今後の経済財政運営および経済社会の構造改革に関する基本方針」を閣議決定し、医療制度改革については、高齢者医療費の抑制目標値を設定する必要性を示しています。
 しかし、この方針に対しては、いち早く医師会が、財政ばかりに重点を置いているとの批判を表明し、与党内部においても不満感がくすぶるなど、今後の具体的な制度設計においては、抵抗が強まってくることが予想されます。
 健保連としては、先月半ばに「今後の医療保険改革の取り組みについて」と題する、来年度の抜本改革に向けての方針をまとめ、「医療費の総額抑制」、「高齢者医療費の負担の見直しと過重負担の解消」、「保険者機能の強化」の3点を最優先に、議論を進めていく考えを打ち出しました。
 また、経営者団体、労働団体との三団体協議を行って、来月上旬をめどに意見集約を図り、支払い側として、足並みを揃えていく取り組みも進めているところであります。
 厚生労働省は、この9月にも、医療制度改革のたたき台を示す予定であり、秋口以降、議論は本格化する見込みです。
 私どもとしても、更に一致団結して、粘り強く、抜本的な改革の実行に向けて、これからも効果的な行動を続けていかなければなりません。
 ご参集の皆様におかれましても、自らの将来を託す身近な問題として、活発に議論し、国民的な関心が高まりますよう、一層のご尽力、ご協力を、お願い申し上げます。

   改革提言や記者会見  12年度事業と決算承認

 大阪連合会の平成13年度第1回総会が7月31日、北区のホテルモントレ大阪で開かれた。出席195組合、委任状提出43組合、合計238組合。
 岡澤元大会長が議長をつとめ、平成12年度の事業および収入支出決算などを提案し、承認された。
 各議案は次のとおり。

議案第1号
大阪連合会平成12年度事業報告

議案第2号
大阪連合会平成12年度収入支出決算

議案第3号
大阪連合会平成12年度収入支出決算残金処分
 以上、関連3議案を一括上程、各議案について事務局から詳細に説明、監事を代表して椿本チエイン健康保険組合から、7月12日コに行われた監査結果を報告し、承認された。

議案第4号
大阪連合会平成12年度特別保健福祉事業推進助成事業報告

議案第5号
大阪連合会平成12年度特別保健福祉事業推進助成事業会計収入支出決算
 以上、関連2議案について事務局が説明、承認された。


 総会開会に先立って近畿厚生局片町社会保険管理官、大阪社会保険事務局久堀保険部長があいさつした。
 また、総会のあと健保連本部横関理事が「医療保険制度をめぐる諸情勢」と題して講演した。

事 業 報 告 の 概 要

1 健康保険組合をめぐる情勢
 健保組合財政は、老人保健拠出金の大幅な負担増加を最大の要因として史上最悪の状態となり、構造的赤字に陥っている。この事態を、健保組合の自助努力だけで解決することは不可能であり、危機感のつのるなかで医療保険制度抜本改革の実現は、今や一刻の猶予も許されない状況にある。
 さて、介護保険制度のスタートは、老人医療費の適正化による老人保健拠出金の減少が期待されながら、療養型病床群の介護保険適用が目標値を大幅に下回るなど、2年後にマイナス影響として大きく跳ね返ってくることが懸念される。
 一方、一時は廃案となった健康保険法の改正は、平成13年1月にようやく施行され、抜本改革に一歩踏み出した。
 健保連では、平成12年度の全国大会を「存亡の危機打開総決起大会」として「拠出金廃止、公費拡充による公平な高齢者医療保険の創設」など6スローガンを決議し、併せて平成13年度政府予算編成に当たって「拠出金負担増に対する緩和措置」「財政窮迫組合に対する助成強化」など財政対策の緊急要請を大会の総意で採択し、関係方面へ強く要請した。
 本年2月には、医療保険改革プロジェクトチームを発足させて健保連としての考え方をまとめ、制度改革の実現に向けて、総力をあげて推進していく決意を表明した。
 大阪連合会では、医療保険制度等検討委員会を中心に精力的に検討を重ね、「高齢者医療制度および診療報酬制度の見直しについて」の考え方を提言し、健保連本部の制度改革審議の検討材料とするよう要請した。また、大阪府庁で記者会見を行い、制度改革の早期実現を強く訴えた。
 次に平成12年6月には、健保連大阪中央病院が全健保組合の支援を受けて新築移転した。「患者の尊厳を尊重した思いやりのある医療サービスの提供」などを運営理念として、急性期中心の第2次医療を担い、専門外来機能を充実させた都市型病院としてスタートした。同時に大阪連合会事務局も移転した。
 以下、平成12年度の事業活動の概要について事項別に報告する。

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