広報誌「かけはし」
2001年6月 No.357
   5月18日、薬業年金会館で健康教室を開催。「中高年の腰痛」と題し、大阪大学医学部整形外科の米延策雄助教授がスライドを使って説明しました。
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中高年の腰痛
     
●腰痛をきたすおもな疾患
米延助教授
   腰痛にはお尻や足への放散痛を伴う「根性腰痛症」と腰背部に限定して起こる「腰痛症」があります。その要因として、骨粗鬆症、腰椎分離症など、@脊椎の骨や椎間関節に由来するもの。椎間板ヘルニアに代表されるA椎間板に由来する痛み。筋・筋膜性腰痛症腰椎捻挫など、B腰椎を取り巻く筋肉によるもの。以上3つが考えられます。
   椎間板ヘルニアは代表的な腰痛のひとつです。椎間板は上下の椎体の間にあり、中央部分は水分に富むゼラチン状の髄核、それを取り囲むように線維性の弾力線維からできている線維輪から形成されていて、線維輪はいくつもの層が重なる強い構造となっています。この2つの物性によって椎間板は体に加わる衝撃吸収をになっていますが、年齢とともにプロティオグリカンなど水分を貯える力が衰えます。また線維輪も年齢とともに弾力性がなくなり、加わった力を分散することができず押しつぶしたまんじゅうからあんこがはみ出た状態になり、それが神経に触り痛みを引き起こすのです。しかし水分がなぜなくなるのかについては、加齢現象なのか、負荷の蓄積によるものなのかはっきり解明されていません。
   
●腰痛の予防について
   腰痛の診断の60〜70%は問診と診察であり、レントゲンやMRIなどの画像診断は診察の際ほかの重大な病気の可能性があるなどの場合に行います。
 腰痛になった場合、足にしびれや筋力低下、排尿障害などの症状がなく、横になり丸くなって痛みが安らぐようなら、楽な姿勢で2〜3日安静していれば1〜3週間で以前同様の活動ができるようになります。
 腰痛の予防として、まず眠る時は適度なかたさの上に仰向けに、座る時も適切な椅子を選び正しい姿勢で座ること。立っている時は片足を適当な高さの台に乗せ、腰椎の前弯を減らすとともに長時間同じ姿勢で立たないことも大切です。
 また物を持ち上げるときは背中をまっすぐに、膝を軽く曲げて、持ち上げるものをできるだけ体に近付けるようにしてください。
 さらに腰椎やその周辺組織の柔軟性を高めるストレッチや腰椎を腰痛から保護するための背筋・腹筋の強化も腰痛の予防には効果があります。
 

スライドを使ってわかりやすく説明